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日本画:紙風船の構成

カテゴリ:おとな美術

  • 作成:山田 稔子

 

今期の日本画クラスは紙風船をモチーフに制作を行っています。テーマは「色」。主なねらいは、色彩の構成による絵づくりと、特性ある日本画の絵の具の発色の研究です。日本特有の豊かな色彩の世界。暮らしや自然の中から見いだされてきた様々な色とその名の由来や、「襲(かさね)の色目」のように装束の色合わせの妙で四季折々の情趣を表現してきた文化を垣間見れば、古来からの日本人の色に対する繊細な感性を窺い知ることができます。改めて色を知り、色への想いを寄せ、自身の色彩感覚を知り深める機会としたいとも考えています。
鮮やかな紙風船は、自分ではなかなか選ばなかったかも、という声もありましたが、モチーフを自分なりに解釈し、どのような主題が引き出せるか?というところからのスタートでした。モノの描写としてではなく、色彩を主軸に、様々な要素のバランスで絵づくりを考えてゆきます。
例えば画の中に見せたい「赤」があるとして、その量は?形は?配置は?周囲の色は?ということを考えるだけでも幾つものパターンが考えられます。大胆なトリミングの構図、詳細な配色の計画… 下図を何点も作っては微妙な差による効果に気を配り、時間をかけ構想を練ってこられました。デザイン的な感覚が存分に刺激され、ウ~ンと唸りながらも意外と楽しい!と前向きです。
さてようやく下図や地塗りなどの準備が整い、これから水干絵具や岩絵具で描き進めてゆくところです。過去の制作から、墨・筆・膠・胡粉などの扱いに段々と親しまれた皆さん、近頃では胡粉を溶くのも慈しむような手つきです。絵皿にきれいな艶が出ていました。画材の魅力を丁寧に生かし、美しい発色とそれぞれらしい色の調和を目指していけたらと思います。

 

*** 展覧会情報 ***

◎『水墨の風』展 
雪舟と長谷川等伯を中心に、日本における水墨画表現の多様な変遷に迫る企画。
洗練された美しい墨の濃淡に、涼やかさを感じられるのではないでしょうか。
出光美術館:〜7/17(月・祝)
 
◎『川端龍子 ー超ド級の日本画ー』展 
床の間にはない剛健な日本画の表現を切り拓いていった人物。
時事を捉えた画題、大胆な構図の大画面に闊達な筆致、冴えた群青色。
骨太な爽快さを味わえます。
山種美術館:〜8/20(日)
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