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神は細部に宿る

カテゴリ:中高生クラス

  • 作成:本田 雄揮

新年を迎え、中高生クラスではそれぞれのスキル向上、視野の広がりをテーマに、ひと月ごとの制作が始まりました。初回となる1月は、質感やディティールを徹底的に描きこむ『細密描写』。ウルメイワシや飛魚の干物をモチーフに鉛筆デッサンを行いました。今まで抱いていた鉛筆デッサンのイメージを超え、『ここまで描くことができるんだ』と新たな認識を獲得し、表現の幅を広げることがねらいです。また、鉛筆という一見慣れ親しんだように思われる画材も、使い方によってまだまだ多くの可能性が残っていることを知り、濃淡による『美しさ』を感じ取るまでに至って欲しいという講師の思いもありました。

カッターで鉛筆を削りながら集中力を高め、使用する種類を選択し、筆圧や芯の角度に気を配り静かにタッチを重ねていく。白い絵皿と干物のコントラストを感じ、魚の持つ独特の皺や表情を写し取っていく。陰影の持つ繊細な移り変わりを深く観察し、紙の白さを『空間』にしていく。どの作業も気を張り詰めるものばかりで、それぞれ学校を終え息つく間もなく取り組むことは大変なことだったと思います。その頑張りあってか、皆表現への新たな一歩を踏み出すことができていました。とても素敵な、今鉛筆デッサンを行っている小学生から大人まで参考に見せたい作品が仕上がりました。

 

『木を見て森を見ず』という言葉があります。細部ばかりにとらわれず、全体を望む広い視野を持つことが大切という意味です。一方で『God is in the detail(神は細部に宿る)』という言葉もあります。広い視野と共に細部にこだわる熱意、そのバランスが重要です。今回は、自分にとってその細部が一体どこまでなのか、言い換えれば『木』なのか『葉』なのか『葉脈』なのか、もしかするとさらにその先なのか、それを知る制作でした。同時にその後ろには大きな『森』があることも忘れてはいけません。柔軟な視野を自在に扱えるように、2月の木炭デッサンもそれらを意識して行っていきましょう。

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