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小学生 絵画/ユーモアとリアリティ

カテゴリ:小学生クラス

  • 作成:本田 雄揮

熱を含んでいた雨が涼しさを運んでくる季節となりました。雲の切れ間から覗く空が高くなってきましたね。小学生クラスで行った二つの絵画制作「こいのぼり」と「夏やさい」も無事完成を迎え、お家へとお届けできる運びとなりました。分散でのレッスンによりひと制作の期間が長くなりましたが、生徒の皆さんは気持ちを途切らせることなく、最後まで集中し、楽しみながら作品と向き合うことができたこと嬉しく思います。各クラスの親睦も深まり、良い影響を与えながらの制作も多々見られ、場の力として教室が活用されていることも深く感じさせてくれる三ヶ月となりました。

 

空想画「こいのぼり」では、五月五日のこどもの日である端午の節句の由来(疫病などを祓う行事だったようです)を知り、自分なりの願いを込め考えた新しいこいのぼりを描く、というテーマでした。「普通のこいのぼりは五月五日のものだから、この時期に描くこいのぼりは全く新しいものでいいんだよ」という言葉をきっかけに、様々な模様や形、面白い設定のこいのぼりが次々と生み出されました。柏餅ミサイルを飛ばしたり、ただただ白米を食べ続ける食いしん坊だったり、やたらとオシャレすぎたり、地球を見下ろすほどのサイズだったりと、空想は止まることを知りません。悠々と空を舞うこいのぼりのように、どこまでも自由に筆を動かし続けることができました。いつの世もこいのぼりは子供達の味方。描いたこいのぼりのように、ユーモアを忘れずに過ごしていきたいですね。

 

観察画「夏やさい」では、幼児クラス同様、京都のあらい農園様のご協力を頂き、畑からの直送夏野菜を瑞々しく描きました。スーパーなどでは見られない不揃いで歪な形、輝かしいまでに鮮やかな色、その「生き物」として迫ってくる力強さのなんと美しいことでしょうか。それに作用され意気も揚々、子供達は夢中で形を追い、まぜ色を行いました。トマトの赤色、ナスの紫、ピーマンの緑、どれも同じものはありません。ひとつひとつ丁寧に、それこそ根気よく野菜を育てていくようにじっくりとモチーフと向き合い、視覚では分からない重さや触覚的な質感も確かめ、小さな発見に胸躍らせ、確かな観察を表現しようと苦心しました。最後は配置や背景のバランスにも気を配りながらの絵の具、描き切ることができた喜びと共に一安心でした。

野菜に添えられていたあらい農園様のお手紙には、日々野菜を狙う猿との闘いや、農薬にまつわる悩みなどが記され、混じり気のない農家としての言葉が目の前の野菜達の背景に思いを馳せるきっかけとなり、解釈を立体的にし、新たなリアリティをもたらして下さいました。本当にありがとうございました。感じ取り、表現しようとしたこのリアリティ、忘れずに過ごしていきたいですね。

 

 

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