ブログ

ブログ

小学生 絵画/よく噛んで描きましょう

カテゴリ:小学生クラス

  • 作成:本田 雄揮

高く澄む青い空に映る、熟した柿の補う色が美しいコントラストをつくる秋の終わり。小学生クラス秋の観察画『ハランと魚介』も続々と完成を迎えました。初めて描く魚やカニに対する尽きない興味や徹底した観察、そこから生まれる説得力のある線と弾ける色、絵の中の主役や脇役を考慮して配する背景の形。どれも春の観察画から飛躍し、広がり続ける『自分のやりたい』をより深めて表現することができました。全員実に見事な作品です。もう少しで完成の子も、あとひと踏ん張り、頑張りましょう。

見るだけでは分からないことがあります。あらゆる物事を真に理解しようとした時、一方向からのみのアプローチでは不十分です。だから描く。描くために見る、触る、においを嗅ぐ。そしてまた描く。然らば与えられる自分だけの価値。それらの行為が徐々に当たり前になっていく様子がこの秋、そこかしこに見られました。スーッと伸びていた鉛筆の線がふっと止まり、改められたスピードでゆっくりと、あたかもそこに形が見えるかの様な、何かに添うように動きを再開する瞬間。一見ほとんど同じ色が作られ、それでも違うと正解を問うように溜まるクレパスで色まぜされた試し紙。ものを解ろうとするには、様々な試みを経て自分の中で咀嚼していくこと。噛んで噛んで、自分が吸収しやすい形に変えていくこと。その噛む回数こそが真の理解に近づいている証。見たまま写し取るのではなく、よく噛まれた後に表現されるべきであり、ならば写真のようにならずとも正解であるという認識。講師の『よく見て描こうね』が、額面通りの意味ではなく『よく噛んで描こうね』として、当たり前に通じる世界。一歩一歩着実な皆の成長が嬉しくてたまりません。

ものを見ることとはどういうことか、それを理解することとはどういうことか。それらを少しずつ、描くことで学び、大きくなっていって下さいね。今月からは早くも冬の工作が始まります。また気分を変え、楽しく参りましょう。

ページトップへ
ページトップへ
Copyright © Atelier 5