昨日会ったかのように
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- 作成:本田 雄揮
雨に煙る景色の先に、時として射す陽が地に集まる滴を生き生きと輝かせます。アトリエ5再開より約一ヶ月。皆様のご支援、ご理解によりまたこの教室で共に制作が出来るようになりました。まずは心より感謝申し上げます。また、クラスによっては分散などにより未だご不便をおかけしていますこと、誠に申し訳ありません。講師一同、生徒の皆様の安全を第一に考え、今後も適宜対応して参りたいと思いますので、ご理解の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
久しぶりに生徒の皆様と会い、なにより嬉しかったことは全員が制作を楽しみにしてくれていたこと。はじめましての子も、ちょっと身長が伸びた男の子も、相変わらずおしゃれな女の子も、中学生になって油絵に挑戦する子も、自宅勤務で羽を伸ばしたかった大人の方も、その全ての方々がこの教室での活動を心待ちにしていてくれました。「こんにちは」とあいさつし、靴を揃え、道具を準備し、席について一息、こちらに向けたその顔、眼差しは、なんと情熱に満ちていたことでしょうか。当たり前のように筆を動かし、当たり前のように集中し、そしてつい先週会ったかのように気さくに話し笑い合う。まるでこの休講期間の二カ月が無かったかのように。
ああそうだ、皆のこの熱意があってこそ、レッスンは支えられていたのだ。
私がそれを思い出すのに時間は要りませんでした。
再開後初回レッスンよりそれを、まさに昨日の続きの如く、抱いて教室に集まってくれたこと、本当に嬉しかったです。
楽しかったままで止まってくれていた時計の針が再びゆっくりと動き出したような、そんな六月でした。
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冒頭の作品は昨年度末に、中高生クラスでおこなった「葛飾北斎・諸国瀧廻り模写」のものです。タイミングが合わずこの時期の紹介となってしまいました。中高生らしい作品の観察と北斎への理解、それを上回る確かな技術と集中力で本当に見事な作品となりました。水のより良い表現を生涯追い求めた北斎の、執拗なまでの情熱。今に至っても見習うべきものです。その思いを模したことを忘れることなく、新たなスタートを楽しんでくれたらと思います。