駆ける風が街から篭っていた熱を奪い、あたかも寛解するかのように季節が虚ろに移ろってゆきます。
中高生クラス、今年度春の油絵制作はテーマを「動」とし、レモンとロープをモチーフに約4ヶ月半の期間を要し描きました。
モチーフをただ単に並べて描くのではなく、そこに何かしらの「動き」を与えて描くこと、それに伴う場面設定や、観察を元にした適切な描写を選択すること、が今回の目標です。
高学年クラスから進級したばかりの中1は、小学生時よりももっと能動的に絵づくりを行い、自分自身が好ましく感じる表現を自らの手で獲得できるよう、様々なものに広く手を伸ばせるようになること。
そのことを理解し始めた中2や中3は、探って見つけた様々な表現から選択を繰り返し、どこまでも深め、油絵の魅力と自分の可能性について改めて考えること。
さらに高校生になり、形成されつつある自己と表現については、一度それを打破し、散らばったかけらを拾い、それを再構成しつつ、そこに何が残るのかを見つめ、研ぎ澄ませていくこと。
1週間会わないだけで見違えることも少なくない中高生は、昨日のことなど遠い昔の出来事であるかのように、変化することをやめません。しかし決して蔑ろにする訳でもなく、学んだことと使った絵の具は確実に経験として糧となり、積み重なり続けています。
その破竹の如き勢いと泰然たる経験が、各作品にも伝わり、様々な熱が感じられるレッスン、また完成となったように思います。
各自が完成作品をじっくりと眺め感じたこととしっかりと向き合い、次の作品へと引き継いでいってくれると嬉しいです。