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立体を直接描く

カテゴリ:中高生クラス

  • 作成:本田 雄揮

前回の、限界まで細部を観察する細密描写の次に行ったのは『木炭デッサン』。大きな植木鉢を描画用木炭を使用し制作しました。同じモノトーンによる制作ですが、鉛筆と木炭では画材の特性が大きく異なります。細密に向いている鉛筆から一転、大きな塊を『線』ではなく『面』で捉え表現すること。また鉛筆よりも幅広いトーンが使用できる木炭なので、それを活かし繊細な色をつくることなどが今回の目標です。両方とも、ものを『立体的』に描写する上で欠かすことのできないことです。

木炭は定着力(紙にくっつく力)がほとんどないその特徴から、それ自体を使って描き重ねていくというよりも、まず紙の上に炭の粉を乗せ、それらをガーゼや食パン、ねり消し、そして手や指を活用し形を起こしていくという進め方をします。木炭をつけては取り、またつけて取る。制作中の体の動きも大きくなり、手はすぐに真っ黒になります。直接紙に触りながらの制作は、さながら砂遊びや粘土をこねている様です。鉛筆や筆を使用した描写と違う作品との『距離感』。紙の上で実際にモチーフを作っているようなダイレクトな感覚。この『直接的』が『立体的』をつかみ取る為のきっかけです。鉛筆や筆でのある意味『間接的』な描写に変な慣れ方をしてしまうと、ついつい観察の対象や目の前の作品と自分との間に妙な隔たりを感じる場合があります。テレビの画面を通して見ているかのような、どこかよそよそしいその感覚は、奥行きを消し去り、作品を意図せず『平面的』にしてしまう危険があります。それらに支配されず、大切なのは鉛筆や筆を使用していても、それらが自分の指先であるかのような意識、油絵でもキャンバスに直に触れているイメージ。今回の木炭デッサンで知り得た技術より大切なこれらのことを忘れず、作品に立体感、つまりは深みと広がりを与えていって欲しいです。

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