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おとな 色鉛筆/画面を壊して絵を進める

カテゴリ:色鉛筆画

  • 作成:横山 大河

 

土曜日午前おとなクラスの方の作品が完成しましたのでご紹介します。

1枚目の画像は制作過程を順番に示したもの、2枚目は完成作品になります。

この作品の作者の方はかなり色鉛筆画のキャリアがある方なのですが、今回また新たに色鉛筆画の表現が一歩深まったという風に感じました。

 

器の反射光や背景の色、テーブルに落ちた影などの微妙なトーンが上手く描かれていて、画面中に廻っていく柔らかい光が感じられる作品となっています。とても丁寧に対象を観察すると同時に、作者の光のイメージが絵に表れていて、とても完成度が高い作品となりました。

 

制作過程の画像からも分かりますが、色鉛筆画では完成の色をある程度予想しながら、そこに辿り着くまでに様々な色を重ね合わせて、目的の色を作っていきます。

基本的には描いた痕跡が積み重なっていく技法なのですが、ある一定のレベルまで達すると、積み重ねて来た画面を一度「壊す」必要が出てきます。

自分の意図しない色の重なりを途中に挟むことによって、より複雑な色味を作ることができるからです。

 

色鉛筆画の場合では、油絵用の溶剤「テレピン」を画面に軽く叩くように染み込ませていく事で色鉛筆の粉を溶かしたり、拭き取ったりして画面を壊していきます。

それをする事によって、手で描くだけでは表現できない偶然性を持たせることができます。

また、テレピンを使う量によってもどのくらい画面を壊すかをコントロールでき、今回の作品の場合は、ある程度色が重なって来た段階で、思い切って多めのテレピンを使った事が柔らかい光の表現に繋がったのだと思います。

 

一度画面を壊してさらに絵を進めていく方法は、ある程度基礎的な描写力がある事が前提となりますが、一度やってみると色々と発見があると思います。

新しい技法に挑戦するのは、不安も伴いますがそれ以上に楽しい事でもあると思いますので、是非挑戦してみて下さい!

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