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日本画:完成—紙風船の構成
[日本画水彩] 2017.09.13
日本画:完成—紙風船の構成
じっくりと時間をかけて取り組んだ「紙風船」の構成による日本画作品が完成しました。先日の合評会にて、皆様より制作を振り返っての感想を頂きました。   ・写生をもとに描いてきたことが多かったが、絵を意図的に「創る」ということに考えが及んだ ・見て描くだけではない、想像力をフル回転させることができた ・一つの絵を創るのに、考える要素の多さを感じた ・画材の扱いに慣れ自信がついた ・描きながら新しい発想が湧き、新しい技法にも挑戦できた   「色」を中心に絵づくりを考えていく今回の行程は、新鮮でもありましたがいつもとは違うアプローチなので戸惑いや困難さを示される場面もありました。しかしそんな感触をも前向きに捉えて制作されている姿が素晴らしかったです。着実に色づくりをしながら新たな挑戦も取り入れ、中盤以降には皆さんそれぞれに全く違う作業で絵に向かわれていました。同じテーマでありながら多様な展開となる画面に、こちらもとてもワクワクさせていただきました。経験値に関係なく、お互いに切磋琢磨し合えることも、大きな励みになっていたことと思います。   用意された順序に沿って失敗なくゴールまで辿り着くことではなく、想いを反芻しながら自分に必要なものを見据え見定め進んでゆく過程。そこにある価値や気付きが、作品の魅力を支えています。今回の制作によって、それぞれにご自身の可能性の広がりを実感していただけたのではないかと思います。今後の作品づくりにどう影響してくるかが楽しみであり、またそれぞれの日常へも何かしらの形で活かされる場面があることを期待しています。     ===== 秋 の 展 覧 会 情 報 ===== 葛飾北斎を特集した展覧会が目白押しです。 その他、日本画関連の展覧会をご紹介いたします。   『北斎とジャポニスム展』 国立西洋美術館 10/21(土)~1/28(日)   『葛飾北斎 富嶽三十六景 奇想のカラクリ』 太田記念美術館 9/30(土)~10/29(日)   『パフォーマー☆北斎 ~江戸と名古屋を駆ける~』 すみだ北斎美術館 9/9(土) 〜 10/22(日)   『上村松園 美人画の精華』 山種美術館 8/29(火)~10/22(日)    『MOMATコレクション 特集 東山魁夷』 東京国立近代美術館 9/12(火)~11/5(日)  
日本画:紙風船の構成
[おとな美術] 2017.06.30
日本画:紙風船の構成
  今期の日本画クラスは紙風船をモチーフに制作を行っています。テーマは「色」。主なねらいは、色彩の構成による絵づくりと、特性ある日本画の絵の具の発色の研究です。日本特有の豊かな色彩の世界。暮らしや自然の中から見いだされてきた様々な色とその名の由来や、「襲(かさね)の色目」のように装束の色合わせの妙で四季折々の情趣を表現してきた文化を垣間見れば、古来からの日本人の色に対する繊細な感性を窺い知ることができます。改めて色を知り、色への想いを寄せ、自身の色彩感覚を知り深める機会としたいとも考えています。 鮮やかな紙風船は、自分ではなかなか選ばなかったかも、という声もありましたが、モチーフを自分なりに解釈し、どのような主題が引き出せるか?というところからのスタートでした。モノの描写としてではなく、色彩を主軸に、様々な要素のバランスで絵づくりを考えてゆきます。 例えば画の中に見せたい「赤」があるとして、その量は?形は?配置は?周囲の色は?ということを考えるだけでも幾つものパターンが考えられます。大胆なトリミングの構図、詳細な配色の計画… 下図を何点も作っては微妙な差による効果に気を配り、時間をかけ構想を練ってこられました。デザイン的な感覚が存分に刺激され、ウ~ンと唸りながらも意外と楽しい!と前向きです。 さてようやく下図や地塗りなどの準備が整い、これから水干絵具や岩絵具で描き進めてゆくところです。過去の制作から、墨・筆・膠・胡粉などの扱いに段々と親しまれた皆さん、近頃では胡粉を溶くのも慈しむような手つきです。絵皿にきれいな艶が出ていました。画材の魅力を丁寧に生かし、美しい発色とそれぞれらしい色の調和を目指していけたらと思います。   *** 展覧会情報 *** ◎『水墨の風』展  雪舟と長谷川等伯を中心に、日本における水墨画表現の多様な変遷に迫る企画。 洗練された美しい墨の濃淡に、涼やかさを感じられるのではないでしょうか。 出光美術館:〜7/17(月・祝)   ◎『川端龍子 ー超ド級の日本画ー』展  床の間にはない剛健な日本画の表現を切り拓いていった人物。 時事を捉えた画題、大胆な構図の大画面に闊達な筆致、冴えた群青色。 骨太な爽快さを味わえます。 山種美術館:〜8/20(日)
ぼかし技法の水加減
[日本画水彩] 2017.05.19
ぼかし技法の水加減
おとな火曜日クラスは、この春から顔彩の基礎技法に挑戦しています。好奇心旺盛な70代の瞳は、まさに今が青春!と輝いています。初回は、面相筆で線の練習をやりましたが、書の経験が豊富な世代なので、直に感が戻りなかなかの腕前!更に、連休を挟んで顔彩の重色を練習し、この日は「ぼかし」の研究とテンポ良く進めています。 朝は庭の光りが美しいのでわざわざお運び頂き、バラ、ツツジ、芍薬、紫蘭など、ちょうど咲き揃った様子をご覧頂きました。すっかりお馴染みの庭ですが、低木を植えたので全体に奥行きが出た事や花の配置の変化にも気付いて下さって、園芸好きも多く楽しいひと時でした。 アトリエに戻り、いよいよ水筆を用いて「ぼかし」の研究です。彩色筆と隈取りなど新しいお道具に戸惑いながらも、真剣に取組まれていました。でも、失敗する度に「ああ〜やだわ、、またやっちゃった!」「う〜ん、水加減が難しい、、」とつい声に出て何だか素直でいいです。最後に花びらを並べたら「いやあ〜上手くいかないですね。」「水はおもしろいですね」「結局は重色部分が大事って事ですよね。」と、様々な反応でしたが、そのお顔が皆様ニコニコなので、「は〜い、後はお家で自主練!」とお伝えしました。笑 私も70代になっても新しい自分を開拓していたいと、人生の先輩方に学ぶ楽しい火曜日クラスです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ =おとなクラス・生徒募集= 【木曜日午前クラス】10:30〜12:30 月3回 講師:辻悦子 小学生や中学生のお子様がいらっしゃるママさんが在籍中で、絵に没頭する時間は「自分を取り戻すオアシス〜♪」と好評です。初心者の方は鉛筆デッサンから始めて頂き、その後は季節の花や果物を中心に色鉛筆画や油絵などお好きな画材で楽しく表現して頂けます。 絵が好きだけど子供がいるから無理と諦めていた方は、是非お気軽に見学にお越し下さい。技術面だけでなく様々な情報交換など楽しい休憩タイムもございます。なお、お子様が在籍中やOBOGの方は、体験レッスンが無料になります。まずは、お気軽にお問合せ下さい。お待ちしています。 【お問合せ】 アトリエ5☎ 044-411-5154(休:日曜日)  入力フォームはこちら↓ ご相談もお気軽にご記入下さい。 https://atelier-5.com/contact
作品展2017の感想 おとな会場:山田
[作品展] 2017.03.17
作品展2017の感想 おとな会場:山田
こども会場とはまた異なる、爽やかで落ち着いた空間。連日多くの来場者で賑わい、受付へメッセージカードを度々補充しに行く程でした。作品展2017・おとな会場では、出品者の年齢層や表現技法の幅が以前よりさらに拡大し、多様な作品群が並びました。自然光に映える窓辺の日本画や鉛筆画、色鉛筆画。軽やかな色紙作品。厚く深い色彩の印象的な油絵。同じ画題にそれぞれの解を見出した中高生の作品群。一人ほぼ一作品という構成もあってか、一点ずつの引力が大きく、それぞれを丁寧に観たくて、会場が混むわけも納得でした。作品の緊張感と鑑賞する人の心の動きとの呼応で、静かなさざ波が立っているような空間でもありました。 それぞれに技法を活かしながらも、技巧だけでは出来ない「絵づくり」、それは自身の考えに向き合うプロセスを大切にしているアトリエ5の制作の特徴だと思います。絵を描いていると、描く程に気づく、自分の中の感受性があります。普段の生活の中では気づきにくいものかもしれません。気づいても、忙しくて傍らに置いておくしかないものかもしれません。自分の琴線に引っかかったことを丁寧に掬い上げる時間の確保。辿り着いた考えでやってみる勇気と労力。やりながらの問答。楽ではないけれど、それらの過程に面白みを感じ、それらを活かせる場としての絵づくりを純粋に喜び制作されている充実感が、作品の大きな魅力となっているのだと思いました。皆様の、作品を完成させるまでの努力に敬服いたします。日々の中、心を尽くしたことをもって、人の心を打つ。会場で、作品に見入っている方々の表情を見ると、作品との心での交流が生まれている様子が感じられました。表現が外に向けられるからこそ、新たな意味や魅力を見いだされることを、出品者の方々ご自身でも感じられたのではないでしょうか。観た人の琴線もきっと震えて、自分の思いを表してみたくなる。その波紋がじわじわと広がっていくことを願います。 社会的立場も年齢も、作風も違えど、表現者という面においての同志がいることの心強さは、我々、アトリエ5のスタッフも同じです。自由に表すこと、そしてつながりあうこと。大人も子どもも。その輪が広がり、心地よい世の中へと向かっていきますように。
出品作制作、佳境に
[日本画水彩] 2017.01.13
出品作制作、佳境に
新年が開け、2年に一度の作品展が目前に迫ってまいりました。おとなクラス全クラスで出品作の制作の追い込みに拍車がかかっています。それぞれに日々の生活やお仕事でお忙しい合間に、作品づくりに向き合う時間を確保することは大変だと存じます。それでも、おとなクラスの皆様は真剣そのもの。制作が進む毎に生じる課題に果敢に取り組み、日常の隙間を縫って次に向かう準備を整えて来られるので、翌週アトリエのドアを開けるなりさぁ描くぞ、とレッスン時間の集中の高まりに教室の熱気はムンムン、です。今月よりさらに緊張感が増してきました。 私の担当する日本画クラスからは、初出品の方も数名。画材の扱いや技法の着実な習得もあり、それぞれの個性ある筆遣いなども際立ってきました。瑞々しく、初の日本画を描く喜びに溢れた作品群となりそうです。一方でいよいよ制作が佳境に入ってきたベテランの方々は、これまでの研究制作を踏まえた意欲作。岩絵の具の発色の美しさを目指し、ここから一踏ん張りというところです。日本画の表現は準備段階にとても時間がかかり、本画に着手するまでが遠い道のりに思えますが、自分の感覚・考えを信じて、焦らずじっくりと一筆ずつを味わうように制作して頂ければと思います。   日本画の他にも油絵、色鉛筆画なども同会場に並びます。皆様各々の表現で「今の自分」のベストを尽くそうと大切な時間と心を込められた作品群が、会場でどのように映えるのか、またそれぞれがどのように響き合う空間となるか、とても楽しみです。
憧れが向上心となる
[日本画水彩] 2016.08.19
憧れが向上心となる
土曜日午後クラスでは春から取り組んだ作品が一段落しました。これまでの基礎デッサンや写生、模写等の経験を積まれた方対象に、日本画の画材と表現を用いた習作的な制作として、春夏が旬のアスパラガスを写生したものを元に細密表現に挑んでいただきました。 和紙に毛筆での線描きや、膠を使った顔料の溶き方、彩色の運筆など、あまり一般的でない日本画の画材は技法の訓練が必要な面があります。一つひとつに時間と手間がかかり、しかも湿度や気温、ほんの少しの水加減などで効果が変わってしまったりと、扱いは平易とは言えません。「思う通りにいかない。一筆ずつが囲碁をさすような感じで、相手(効果)の出方を楽しむ描き方ですね。」という感想が制作中に出てきました。皆さん真剣に慎重に画面と対話しながら、制作時間はいつもキリリとした緊張感があります。 しかし技法さえ磨けば描けるということではなくて、制作者本人の描きたい気持ちや憧れこそが技法を向上させるという事を改めて感じました。習作ながら、それぞれ作品へのねらいをしっかり持たれて、その想いをのせた絵の具の発色は明らかにその人のものになっていっています。「いや〜、難しい」「そちらはいかがです?」生徒さん同士で励まし合い、一筋縄ではいかない画材と格闘?しながらも、それに振り回されることなく自身の絵づくりを進めて行かれ、完成後は笑顔でした。描く仲間や先輩がいる事で高め合える環境がまた、制作の大きな助けとなっています。 皆さんに日本画にご興味を持たれたきっかけをお聞きしてみると、古美術や墨絵への関心、画材の魅力に惹かれて、現代作家の絵を見て、などとバラバラです。日本画の定義の解釈は様々ですが、日本画という美への憧れが向上心となり、それぞれご自身の日本画をつくっていくのだと思いました。 次回作はそれぞれに自由な画題で制作を進めます。モチーフへの想いも加わり、さらに魅力的な表現となることを期待しています。
花はそうして咲いている
[日本画水彩] 2016.04.22
花はそうして咲いている
          大人クラスでも新年度のレッスンが始まっています。充実した昨年度の学びから、新作への意欲溢れる生徒さんですが、毎年この時期にはお庭の写生を行います。作品づくりの本格始動の前にちょっとストレッチ。春には春を感じて、心を耕しましょう。   野外写生は、モチーフを室内に持ち込んで描くことと違った趣きがあります。花を描こうとすると、陽が眩しい、風で揺れる、虫が這っている、枯れた色がある、時には雨が降ってる・・・。自分が焦点を定めている対象以外の要素が多く、それは描く側の都合にしてみれば少々煩わしい?ことでもありますが、その全ては、その花がそこに咲く為に必要だったこと。また、庭の主・辻先生のお話によると、毎年同じ植物を育てていても、咲き方が同じではないことが伺えます。庭を取り囲む様々な自然現象、そしてそれに手をかけている人の愛情。花はそうして咲いている、ということを感じながら写生をすることで、その線描には見えたこと以上の感受性が刻まれていきます。少し時が経ってからスケッチブックのそのページを開くと、庭での時間が蘇るように感じられるのではないでしょうか。 目指すもののために計画的に行動することは大切ですが、時には無目的に、ただ目の前のことをじっくり味わう。そんな時間があってこそ、次に繋がる活力となります。外は気持ちいいですね!と互いのスケッチブックを見せ合う生徒さん、伸びやかないい笑顔でした。
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