ブログ

ブログ

小学生 絵画/モノクロームの宝物

カテゴリ:小学生クラス

  • 作成:本田 雄揮

くっきりと冴える月が夜を殊更静かにみせる季節。小学生クラス「水墨の旅」も完成を迎えました。分散でのレッスンでクラスの人数が半分、だからこそと教室を広々と使った墨のダイナミックな表現。集中と賑わいが混在したとても楽しい制作となりました。「にじみ」や「かすれ」など水墨の技法を学び、そこでできたモノクロームの形を何かに見立て、長い紙の上を旅していく。お外にあまり出られなかったと思われた時期だからこそ、絵の中ではどこまでも遠くへ羽を伸ばしてほしい。子供達はその期待に応え、シュールでごきげんな冒険を繰り広げていました。話を聞いてみるとストーリーの設定が思いの外しっかりと成されていることに驚きつつも、それぞれの発想力に破顔せずにはいられませんでした。

例年一度は行う墨を使った表現ですが、今回はいつもと少し違ったものとなりました。似ているようで絵の具とは明らかに異なる墨と言う画材。その色、紙面上での変化や特性に、より迫ったものとなったように感じます。そしてそこに子供達が面白さと美しさを見出してくれたのは、とても喜ばしいことでした。筆先で静かに水を一滴、じんわりじんわりと広がるモノクロームの形。それは偶然性に委ねている訳ではなく、「こうするとこうなる」という実にシンプルな墨と水と紙の因果関係。水量が多いと円が大きくなる、筆を速く動かすと線がよりかすれる、水をひいていないところには墨は広がっていかない…それらを繰り返しの中から理解し、思った形へと誘っていく。楽しくないはずがないですし、なによりそれを楽しいと感じるところまで自分をもっていけたということが素晴らしいことです。さらにそれを「きれい」と感じることのできる心。カラフルではないからこそみえる繊細なニュアンス、そこに名前を付けるように意味を持たせる「見立て」の小意気さ。それこそが墨の美しさであり「モノクローム」の美しさなのです。それを屈託のない姿勢で向き合えたことは、とても大切なことです。きっと将来宝物となるでしょう。ずっと大切にして下さいね。 

 

ページトップへ
ページトップへ
Copyright © Atelier 5