中上/小学生:花器と春の芽吹き
カテゴリ:小学生クラス
- 作成:辻悦子
小学生クラス 2014年3月
◎作品のねらい
・花器と植物の構図を効果的に捉える
・作品に対して自分のイメージを持ち、背景の表現方法を考える
・自分の表現方法にあった筆と絵の具の使い方を学ぶ
・今の自分を大切にし、気持ちをこめて作品に向かいあう
◎感想/講師:中上佳子(火曜日クラス)
今年の春は行きつ戻りつ、来そうでまだ来ないと待ち遠しい思いをしました。いよいよ桜の開花する頃!子供たちの作品も今年度最後の集大成です。今回の観察画のテーマは花器、それとじっと春を待つ新芽たちです。今回は華やかな春の花を描くことよりも、花器の存在をどう活かすかを主題として挑戦してもらいました。
花器は三種類。個性の異なる花器に合わせて、主宰の辻に自宅のお庭で育った葉牡丹、猫柳、南天、ヤツデの実を生けていただきました。今年の大雪を乗り越えた辛抱強い植物たちは、お花屋さんで見かける植物とは違った生の姿。子供たちは触って感触を確かめながらそれぞれ描きたいと思う花器の前へ集合!
制作で大切にする事と、日本画家の小倉遊亀さんや、洋画家の坂本繁二郎さんの作品を紹介した後は、とにかく子供たちの描くイメージをじっと見守ることを一番大切にします。それは一年を通して様々なことを知り、学び、ともに時間を過ごしてきた子供たちを信じることでもあります。クレパスのひっかき、たらしこみ、混色、重色、淡彩・・・今年一年体験してきた様々な技法の中から、子供たちは自分の作品のイメージにあった表現を選び、筆を運んでいきます。制作が一区切りついた時やお片づけのときに、冗談を言ったり笑ったり、和やかな雰囲気が生まれるのはいつもと同じなのですが、完成に近づくにつれ、いつもと少し違う、今年一年の自分に対して真正面から臨んでいる空気が濃くなっていくのを感じました。皆、言葉に出さなくとも“今の自分を出し切りたい”と思っていたのだと思います。まさに、集大成という言葉通り、心のこもった一枚が完成しました。
レッスンは、どのクラスも同じということは無く、そのクラスの子供たちと季節と作品が響き合い、その瞬間に生まれてきます。火曜日クラスの皆と一緒に過ごせた時間は本当に貴重で、私自身も子供たちの姿から学ぶことも多く、とても楽しかったです!4月から、またそれぞれの新しいステージで、精一杯楽しむことができるように応援しています!一年間、どうもありがとうございました。