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本田/小学生:夏のスケッチ

カテゴリ:小学生クラス

  • 作成:辻悦子
小学生クラス  2014年8月
 ◎作品のねらい
・自ら描きたいものを見つけ、よく観察し、スケッチの魅力を知る。
・枚数を重ねていきながら、線表現の幅を広げる。
  ◎ 感想/講師:本田雄揮(月・水曜日クラス)
夏の工作もひと段落し、ほっと一息の8月は『夏の特別レッスン』です。
夏休み中ということもありクラス全員が揃うことが少ないので、一回のレッスンごとで出来ることかつ自宅でも行えるものとして『スケッチ』に取り組みました。
スケッチは、通常レッスンで制作している絵の作品と一枚にかける『時間』と『意識』が少し異なります。
ひと月かけて制作する作品を長距離走だとすると、スケッチは短距離走。
または、たくさんの原稿用紙でまとめる作文ではなく、さくっと気軽に書く一言日記みたいなもの。
その分、一本の線に発見や気持ちを込めるための『観察』は通常よりも大切になります。
また、スケッチは情報を収集、選別する力が養われます。
必要なものを見極め、不必要なものを省く。
作品制作のみならず、何かを行う上で、この力は非常に重要です。
もちろん初めからできるものではありません。
挑戦していきながら、自分でコツを見つけ出す。
その為にはたくさんやってみないと分かりません。
何事も経験です。
正確さよりも自分が感じた印象を。
夏休みという特別な時間には、ピッタリの制作です。
というわけで、多様なスケッチを試みる為、今回は様々な場所でレッスンを行いました。
まずは辻の自宅へ足を運び、普段見られない室内のものをスケッチ。
かき氷機や仏壇の仏様(!)、お庭で夕涼みする猫…。
どこからか聞こえる蝉の声と風鈴のやさしい音色が、集中した室内の静けさを際立たせていました。
田舎へ帰省したような心安らぐ空間で、スケッチのコツを掴むことができました。
頑張って制作した最後には、サプライズのスイカも!とてもおいしかったです。
次は教室で夏野菜のスケッチ。
トマトやトウモロコシ、ナス、ゴーヤなど、鮮やかに色付いた野菜を、割り箸ペンと墨で描いていきます。
描き慣れた鉛筆と違い、なかなか調節が利かない割り箸ペン。その分、線で表現する面白さを知ることができました。
モチーフとなった野菜は、私の責任の下、すべて夕飯と相成りました。健康になりました。とてもおいしかったです。
そして3回目は最寄りにある市の施設『国際交流センター』へお邪魔し、窓から外の景色をスケッチ。
目の前にモチーフを置いて描く今までのスケッチとは違い、風景は情報が多いので自分で選ぶ力がより必要となります。
どのように描くか楽しみにしていると、あるクラスでは『外で描くもの探したい』との声が。
素晴らしい。与えられたものだけでなく、自ら考え足を動かし対象と関わりに行く姿勢。
夕刻で涼しさもあり、野外でも気持ちよく活動できました。
(快く場所を提供して下さった交流センターの方々、誠にありがとうございました!)
最後の回は今まで描いたスケッチをまとめます。
参考資料を見ながら表紙のデザインを考え、順番に並べ、穴をあけ紐で結んで完成。
この夏の思い出が、ギュッと綴じられたかわいらしい一冊が出来上がりました。
スケッチはとてもお手軽に行える制作ですが、その効果は実は計り知れません。
有名な作家達も同じようにたくさんのスケッチを行い、作品づくりに活かしてきました。
今回驚いたことは、子ども達の『観察し捉える力』の柔軟性です。
始めは何を描いていいか、どのように描くか迷いがあった子も、回を追うごとに対象と積極的に関わり、線に豊かさが生まれてきました。
ただものをそのまま描くのではなく、何を感じるのか、どう表すのか。
そんなことをいつのまにか考え、実践している。
それがスケッチの魅力なのだと、改めて気づかされました。
これを機会に、レッスン以外でもたまにスケッチを行ってくれればいいなあ、と思う8月でした。
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