山田/幼児:ラディッシュとカブ
カテゴリ:幼児クラス
- 作成:辻悦子
幼児クラス / 制作:2014年4月
◎感想/講師:山田 稔子
ベランダ菜園でラディッシュがたくさん採れました。というのは昨年の話。
よし、これはモチーフにいいかもと今年も種を蒔いてみました。
が、なぜかうまく育ってくれません・・・。困った・・・。
なんでかなぁ、みんなに描いてもらおうと思ったのに。。
と、かろうじて芽と葉だけは出た鉢を見せてレッスン冒頭で話すと、
「お水をもっとあげたら!?」「周りにお花を植えて応援してあげたら!?」
と、アドバイスや励ましの声をくれました。みんなやさしい〜。
幸い、ご近所に立派なラディッシュが売られていたので
絵のモチーフは無事に用意できました。真っ赤でカワイイ!
プラス、白くてつるんとしたカブと、ちょっと珍しいうす紫色のカブ。
この瑞々しい季節の旬のものを、感じて観察して描くことが5月のテーマです。
触って、匂いをかいで、味見もしてみて、そしてそのモチーフが
アトリエにやってくるまでのストーリーなどを聴くことで、想いが膨らみ、
制作への入り込みが変わってきます。
土の中に実ができるのが子どもたちにとっては意外なことだったり、
切ったカブのヘタからまた葉が生えてくるのを観察してみたり
目に見えていることの周囲や裏側をも知ることで、何か実感を得た経験が
その絵と共に子どもたちの中に残るといいなと考えています。
みんなに少しずつプレゼントしたラディッシュの種は、上手く育つかな?
鉛筆の健気な線で形をとり、クレパスの重ね塗りで本物の色を追求し、
背景は絵の具でモチーフの周囲を彩ります。
できた〜!という声が上がると、少し離れて一緒に画面を眺めます。
楽しくランダムに塗っていた?ように見えたある男の子、3秒じっと画面をにらみ、
「・・・ココ足りない。この色で仕上げる」と最後にほんの一筆。画竜点睛!
じっくりと丁寧なモチーフ描写にこだわった女の子は、絵の具の仕事も妥協なし!
ちょっとのバランスで絵が仕上がることを何となくわかっていたり、
ちゃんと自分の意志と「納得」で絵の完成を迎えること。
子どもたちなりにも一人の表現者としての感覚がそこにあり、
同じ物を前にしてもそれぞれの解釈や心の動きで全く違う絵が現れることを、
尊重していきたいと改めて思いました。