おとな/油絵
カテゴリ:おとな美術
- 作成:本田 雄揮
年の瀬迫り何かと慌ただしい季節となってまいりました。おとなクラス生徒皆様におかれましては、お忙しい中でも絵画制作に集中する時間を楽しみに、教室に足を運ばれ、大変励まれております。
今回はおとなクラス油絵制作のご紹介です。
鉛筆デッサン初級・中級のメニューを終えた後の技法選択肢のひとつとして「油絵」があります。学生時代に授業で行って楽しかった、全くの初めてだが興味はあった、趣味で描いていた経験がある‥など、選択される動機・経験は皆様それぞれですが、アトリエ5ではどのような方もまず、油絵の前にポスターカラーによる「色彩構成」のメニューを行っていただき、色彩の知識、混色のコツ、筆づかいのコントロールなどを学んでいただきます。
モノトーンのみの表現だった鉛筆デッサンから一転、色彩豊かな制作に心躍る一方、その難しさに驚かれる方も多いですが、この色彩の学びを経て油絵制作を行うことで、スムーズに取り組むことができるというわけです。
油絵制作自体は、はじめに道具の扱い方や、基本的な制作手順に慣れることから始まります。
油絵制作では「何層も重ねて描いていく」という特徴があります。スケッチから始まり、下書き→下塗り→重ね塗り→さらに重ね塗り→描き込み→どこまでも描き込み‥と時間をかけて丁寧に絵の具を重ね、色の層を作っていくことで、油絵独自の発色、美しさが生まれてくるのです。最初にこの手順を意識しながら描くことで少しずつ油絵の具の特性を理解し、完成までのプロセスをイメージしながら進められるようになっていくのです。
慣れてきますと、描きたいモチーフに合わせ、絵の具の厚み、タッチによるマチエール、オイルの配分、色の関係性、空間表現などを各自で工夫して描きます。
油絵の魅力はなんといってもその「表現の幅の広さ」にあります。物質的な絵の具を大胆に重ね、ゴツゴツの質感にすることもできますし、オイルを多く溶いて透明感を持たせることもできます。ペインティングナイフを使用したフラットな厚ぬりなどは、他画材にはない無二のものです。
また、絵の具が固まるのに約1週間ばかりかかることを活かし、パレットではなく画面上で絵の具を混ぜ、フレッシュな色づくりの印象を与えたり、修正したい部分などは布で拭き取り何度もやり直しを行うこともできます。
油絵は自分が望む表現に近づくまで、どこまでも画面上で絵の具のやり取りを繰り返すことができ、他の画材に比べ、より深く「作品づくり」としての絵画を追求することができるのです。
一方で、自らが望む表現ができるということは、同時に「どういう作品を描きたいか」という作者のねらい・意図を明確にしておく必要があります。それが曖昧ですと、制作中に完成への道程で路頭に迷う状況がしばしば生じてきます。また、最初は計画していたものの、途中で分からなくなってしまうこともよくあることです。ですが、それこそが他にはない「作品づくり」の醍醐味でもあり、「絵をつくっている」という実感でもあるのです。
油絵は他に比べ、直接的な画材といえます。始まりから終わりまで、自らが行った様々な行為がそのまま重なりとして残り、全ての痕跡が作品の一部となります。
現代社会、特におとなの皆様において、日常で鉛筆を持って字を書くことすら少なくなってきた今、ダイレクトに、触覚的に自らの痕跡を残していきながら絵画を制作する油絵は、自らが忘れていた感覚、もしくは今までに味わったことのない感覚を想起させ、新たな喜びを得るものとして、もしかしたら必要なものかもしれません。
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[おとなクラス増設予定!]
ご要望にお応えして来春に向けて開講準備を進めています。整い次第こちらのブログでご案内するので今しばらくお待ち下さい。
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[絵画教室アトリエ5]
川崎市中原区、東急東横線、東急目黒線「元住吉駅」徒歩5分
モトスミブレーメン通り商店街にある絵画教室です
子供から大人まで生徒数150名
クラス時間表→曜日時間
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