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中高生 油絵/聴想画・抽象表現

カテゴリ:中高生クラス

  • 作成:本田 雄揮

新年度が始まって1ヶ月。皆様、新たな生活にも慣れてきた頃でしょうか。ツツジが美しく街を彩っていますね。今年度もよろしくお願いいたします。

 

今年度の中高生クラスは昨年度よりひとクラス増設され、4クラス総勢27名。各クラス初回から活気あふれるレッスンとなり、フレッシュな中1からベテランの高校生まで、これからどのような表現を見せてくれるのか、今から楽しみです。勉強や部活、友人関係など、諸々忙しいとは思いますが、アトリエ5での時間を各自で有意義なものとしていただきたいです。

 

冒頭の作品画像は、昨年度行った中高生クラス秋の油絵制作「聴想画・時刻と天候」です。

 

小学生クラスで行った聴想画と異なるのは、中高生クラスでは各自が曲を決めること。テーマからそれに見合う曲をそれぞれが選択し、イメージを構築していきます。流行りのポップスから海外の民謡、映画やゲームのテーマソング、誰もが知るクラシックなど、実に多様な曲がモチーフとして名を連ね、それだけでも生徒一人ずつの解釈や知見の幅を感じることができました。

 

また、描き進め方も小学生クラスの聴想画とは大きな違いがあり、それは「曲への理解を深めた上で、直接その曲を想起させるような表現、ないし具体的な表現は行わず、自分なりの新たな解釈を得た上で抽象的に表現する」というものです。

 

具体的な表現を行わないとは、例えば車のCMで使用されている曲を使用した場合に、直接車を描くことはもちろん、そこで用いられているデザインされたイメージカラーやトーンなども用いらないということです。なぜならそれはもうすでに「誰かがその曲で表現したこと」だからです。「模倣」は学び方の一つとして優秀ですが、ただの安易な便乗は今回は避けて然るべきとしました。

 

とは言っても、もとより音楽とはたくさんのイメージが付随するものです。そこからの脱却、新たなイメージをつくり上げることは、そう易々とできるものではありません。

 

ですので制作ではまず、曲についての主観的、客観的双方のキーワード集めから行い、そこから簡単なスケッチを行うこと数回、ある程度の抽象的な視覚情報にまとめ、それを繰り返し取捨選択しながらスケッチブックに情報を精査、積み重ねていきました。さらに、意外性や偶然性をもたらす為に異素材でのコラージュを行い、自身の手中のみからでは得ることのできない視点を手に入れて、そこでようやくキャンバスへと移行、油絵に取り掛かりました。

 

制作期間のおよそ半分をアイデアスケッチに費やし、曲を通して「自分が表現してみたいこと」を模索した結果、皆、大多数の人が持つと思われる、その曲の月並みなイメージから、見事殻を破り、各自の解釈が表立って印象付ける、一枚の絵画として成立し得る抽象作品となったと思います。

 

 

今回の制作で行ったプロセスは、聴想画に限ったことではなく、あらゆる表現を行う時に利用できることであると私は考えます。静物画を描く際にも必要なことです。選択し、新たな解釈を得て、さらに選択し、突き詰めていく。この繰り返しを行うことでしか、理解できない「自分」があります。すぐにはできませんが、ちょっとずつ理解していってもらえると嬉しいです。

 

新たな気持ちと共に継続による充実感も併せ持ち、今年度も頑張っていきましょう。

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