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白と透明のモチーフ

カテゴリ:中高生クラス

  • 作成:本田 雄揮

中高生秋の制作も折り返しを迎えました。今回は白、透明をテーマに、全員で囲み型のモチーフを描いています。限定された微妙な色の差、その中に潜む美しい陰影、重なりによる高さと奥行きが、作品づくりにどのように影響してくるのでしょうか。中学生はほぼ初めての設定なので、トリミングから丁寧に行い、ねらいを維持しながらコツコツと進め、高校生はさらに油絵としての表現を深めることに集中し、毎回キャンバス上で起こる現象に反応しながら、模索を続けています。

今回のモチーフのねらいとして、ひとつは色彩を押さえたものの描写、もうひとつは空間としての表現を設定しました。色彩を極力廃したモチーフは、浅い観察では単純な色調に陥り、作者の持つ魅力的な表現を黙殺してしまいます。限定された中に、どれだけの色彩が眠っているのか、それを発見し、揺り起こすことが求められます。そのヒントは、白さが目立つ明部よりも、それぞれのモチーフが関係しあい生み出された陰影に隠されています。質感、フォルムの差からそれらを読み取り、豊かな画面を目指してほしいです。同時に、囲み型の大きいモチーフ特有の、広い空間表現も忘れてはいけません。特に中学生には、『高さ』と『前後の重なり』を意識することは、今までの経験上、難易度がグンと上がった設定となり、うまくいかないこともあるかと思います。しかし、平面的な単一視点ではなく、ものを立体的に、複数の視点から観察し表すことこそが、画面の中でモチーフを単体で描くだけでは生まれない、『空間を描く』という絵画の新たな魅力へと繋がっていきます。その為には、配置されたものの『関係性』を見つけ出すことが重要です。人と同じように、もの同士もお互い影響し合うし、人と同じように、ものにも裏の面が存在します。それらを気にしながら向き合うだけで、モチーフは今までとガラリと変えた表情を見せることでしょう。

それぞれが、自分の目指す表現へと近づいていく為には、描くものへの愛情、理解が不可欠です。白と透明に、どのような自分の『色』をつけていくのか、ここからが正念場です。

 

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