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挑戦

カテゴリ:中高生クラス

  • 作成:本田 雄揮

子供油絵クラスに続き、先週は木曜、金曜それぞれの中高生クラスでも、秋の制作合評会が行われました。『白と半透明のモチーフ』という難しいテーマに各々の挑戦が見られ、発表の言葉の中にも作品に対する深い思いが込められていました。タイトルによって作品の印象を決め、鑑賞する人に向けての意識を忘れず、良い部分だけではなく自作を冷静に見つめることができる真摯さ。とても良い合評会でした。

囲むほどの大きいモチーフは初めての中学生。今まで『つくって』いた画面構成を、今回は『切り取る』という違い、画面からはみ出る部分の多さ、奥行きのある空間、限定された色彩など、驚くほど新しいことが詰まっていました。描き始めは今までの経験をベースに順調に進んでいましたが、徐々にこの課題の難しい点に気が付き、後半は頭を悩ませることが多くなりました。『こうしよう、こうやって進めよう』という意志の明快さが、『本当にこれでいいの?』という自身に向けての疑問に変わる。新たな問題が見えてくるということは、それだけものを見る目が養われてきたということ。絵に対する視野が広がってきたということ。今回、前作よりも作品に対して疑問を投げかけることが増えたのは、小学生ではなく中学生としての挑戦、取り組みが深まってきた成長の証です。その問題に最後の最後まで粘り答えを見つけようとした姿勢はとても素敵なものでした。かげの色の作り方や、油絵としての形のとり方、空間表現…。見つけた課題と答えをこれからも追求していって欲しいです。

一方、それらの経験も豊富になってきた高校生は、挑戦することの難易度もどんどん上がっていき、その分新たに見えてくる問題も難解になってきました。それにより、絵を描くということは『ものを描く』ということと同時に『空間を描く』ということであると少しずつ理解してきたように思います。何もないと思うところにも、何かと決めて絵の具を置かなければならない。ひとつのものを描きこむということは、周りとのバランスを考え行わなければならない。鉛筆デッサンにおいても、形の正確さはもちろん、さらにその中で自分が感じた『美しさ』を表現しなければならない。自分の理想に近づいていくために『必要』なことが後から後から湧いてきます。その膨大さに一瞬気が遠くなり、嫌になってしまうこともあるかもしれません。しかし忘れてはいけないことは、それらを『楽しんで』行うということ。辛さと共に塗った絵の具は、人の心を動かしません。この問題にどう答えようか、一番面白い方法は何だろう、それらを考え、実行することが、実は本当の『挑戦』でもあります。必要性をただのノルマとしてではなく、未知なる表現へと転換していくこと。時間がかかる挑戦ですが、きっとできると信じています。一歩一歩焦らずに進んでいって欲しいです。

このメンバーと共に制作できるのも、残り数カ月。良い影響を受け合うことができる素敵な仲間です。最後まで楽しく制作しましょう。

 

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