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中高生 デッサン/えらべるかな

カテゴリ:中高生クラス

  • 作成:本田 雄揮

底冷えする寒さの中、ほんの少し長くなった陽が春へと続く歩みを感じさせてくれます。油絵制作を終えた木曜中高生クラスではこの1月、木炭デッサンに取り組みました。黒い布の上に丸ごとの白菜。目標は美しい白色を表すことと、ずっしりとした量感、存在感を感じて描くこと。その為に必要なことは何か、そして不必要なことは何かを考え、木炭の持つ特徴を活かしダイナミックに制作しました。ギリギリまで細部を描きこまず、木炭の粉を画面につけては手やガーゼで整え、さらに黒を重ねる。積極的に作品とのやりとりを行い、何かを奏でるか、または踊るようにかたちを変え、スピードを変え動く手。常に全体を意識し、粘土を捏ねる様に陰影やコントラストを作り上げていきます。そうして白菜の持つ重量感を追い、美しいモノクロの作品へと仕上げることができました。皆の作品を並べて見ると、油絵でも見られたそれぞれの持つ特性が如実に映し出され、表現することへの芯の安定が見て取れました。ねらいをしっかりと理解し、それらを超える表現を見せてくれたのは、さすがは中学生。大変意義のある制作となりました。

 

デッサンに限らず、油絵も含め何枚も制作を繰り返してきた中学生。当たり前ですが『できること』は増えていきます。細かい描写、色彩への判断、構成への意識、陰影の理解。しかし、それら全てを100%作品に注ぎ込めば自分の納得する作品に仕上がるかというと、実はそうでもありません。大切なのはできることの中から『えらぶこと』。今回は細部の描写を思い切って後回し、ほとんど無視しました。そうすることで異なる、見えてくるものがあります。その見えてきたものの中に、自分にとっての新たな課題が眠っているのです。そしてまたひとつ『できること』が増えるのです。引き出しを全部開けひっくり返すような制作も時には大切ですが、どの引き出しを開け、そしてそこから何を取り出し使うかを考え、試みる制作もまた大切です。

 

今回の制作で選んだこと。その視点を忘れずに、大切にして下さい。

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