本田/おとな美術:木炭デッサン
カテゴリ:デッサン油絵
- 作成:辻悦子
土曜特別講座/講師:本田雄揮(木曜日クラス)
◎制作のねらい
・木炭と鉛筆の違いを知り、木炭画の魅力を知る。
・ものを『面』として捉え、立体感を表現する。
・幅広いトーンで、『黒』の豊かな表現を学ぶ。
◎ 感想
9月の特別講座は『木炭デッサン』。
描画用木炭は、鉛筆よりも馴染みのない画材かと思いますが、実はその歴史は古く、人類が火を使い始めた頃に遡ります。現代まで続く絵画の歴史の第一歩を担い、岩壁画等にも用いられた、まさに『人類最古の描画材』なのです。鉛筆よりも伸びがよく、取ったりつけたりが容易いので、画面とのやり取りが充分に行え、巨匠から画学生まで幅広く用いられています。
なにより木炭の『黒』がとても美しい。モノトーンの世界で、明度だけでなく彩度まで鮮やかに表現出来るのが何よりの魅力。一見、とっつき難いかもしれませんが、その余りある魅力を知って頂きたいと思います。
今回はまず、木炭という画材に慣れて頂くため、専用の木炭紙の半分サイズで、かぼちゃを描きました。使用する道具の説明、線や面を描く練習を経て、いざ本番。木炭画で使用する道具は、木炭、ガーゼなどの布、ねり消し、食パン、そして手など、自然のものが多く、実に素朴です。加工技術が発達していなかった昔とほぼ同じ道具で制作するのは、なんだか心震えますね。
木炭自体も、実は一種類だけではありません。木の種類、育つ環境、樹齢、焼き方の違いで、色や描き心地に違いがあります。もちろん木炭も自然の木が原料ですから、同じ形のものはありません。慣れるまで少し時間がかかるかもしれませんが、それもまた魅力。
描き始めは勝手の違う木炭に試行錯誤でしたが、制作が進むにつれてどんどん木炭の面白さに取りつかれていきました。普段行っている鉛筆や色鉛筆での制作が、コツコツ積み上げていく『積み木』感覚だとしたら、木炭は『泥遊び』。大きな腕の動きで木炭をつけ、指や手の平で定着させ、また木炭をのせ、布でこするなど、やっていることは粘土に近いかもしれません。直接的に紙にアタックしていく行為は、今まで考えていた『描く』とは違う、きっと新たな価値観だったと思います。
最後には『木炭って面白いね』という感想まで頂き、とても充実した時間となりました。次回の開講日はまだ未定ですが、新たな『描く』を体験されたい皆様、是非ともご参加下さい。