作品展2017の感想 こども会場:山田
カテゴリ:作品展
- 作成:山田 稔子
2月下旬。各々の生徒さんの過去2年間の作品群からベストとなる数点ずつの展示作品を選考しました。ご家族に喜ばれた作品。講師を熱くさせた作品。作者本人の想いが詰まった作品。その時々のレッスンで「今」に挑む取り組みの中には、のびのび楽しく描いたものばかりでなく、葛藤を抱えながら生み出された線や色もありました。その中から選び抜かれた作品が集まり、展示構成を考える時には「○○ちゃんらしいな」「○○君てこういう面もいいよね」と、一点一点に触れながら改めて感慨に浸るスタッフたちなのでした。
そして3月。会期が始まり、会場にてそれらが一同に並ぶ眺めは圧巻でした。一点ずつの魅力もさることながら、他の作品と共に並ぶことで、より輝きを増すことの不思議さ。教室では気づかなかった新たな魅力が照らされ、クラスや学年を超えて調和し合う空間。新芽の息吹のような、溌剌と柔らかい空気が会場を満たしていました。アトリエ5の作品展は決して出来映えを競い比べ合う場ではないということを、きっとご来場いただいた皆様に感じていただけたと思います。今回初の取り組み「鑑賞会」での反応や、会場を初めて訪れた方々の表情からもそれは伺えました。
アトリエの子どもたちだからこその表現、会場の空気ではあったけれど、この感じが「子どもの絵の世界の特別な夢の空間」として終わらず、未来の社会の縮図がこのようにあってほしい。と、ふとそんな想いが沸き起こりました。それぞれの人が今を感じ生きる姿に、一つとして同じものはない。横並びに取り繕ったり隠してしまわずに、共にありのままの良さを出し合うことで、互いの存在の尊さがより鮮明になる。助け合ってより良いものを築き上げることができる。—そんな理想を体現している場ではなかったかと思うのです。大人になると「ありのまま」ばかりでは立ち行かない現実ですが、大人にも子どもにも「ありのまま」を安心して表現し合える場が保障されている世の中が、この先の未来に続いていてほしいです。
作品展を終え、自分の表現に自信をつけ、互いの表現を認め合える子どもたちに頼もしさを感じています。皆、作品展前後で明らかに大きく成長しました。
改めて、生徒の皆さんの力と日頃からのご家庭の支えがあってこそ、この素晴らしい作品展を開催できたことに感謝致します。温かいお声掛け、メッセージもありがとうございました。素敵な仕事に関われて、幸せです。