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鳥獣戯画の模写 -5

カテゴリ:小学生高学年

  • 作成:辻悦子
    子供油絵クラス 発表会 2012年3月              /作者:宇野夏都(小5)
                                             ◎感想/アシスタント:中上佳子
 2月から始まった鳥獣戯画の模写制作がついに完成し、発表会を迎えました。国宝の絵巻『鳥獣戯画』の動物達を模写し、その模写を使って、画用紙の上に自分で考えた物語を構成します。油絵クラスでは、模写に使う和紙に自分でドーサ(滲み止めを行うもの)をひき、画用紙には自分で黄土(日本画の水干絵具)をかけました。そして、絵巻特有である横長の画面を再現する為に、全員が画用紙を横に繋げました。初めて触れる、膠やドーサや岩絵具。普段使っているチューブの絵具と、全く違う触り心地や扱い方に皆、興味津々でした。
 日本画にとって、線は絵の命になる、とても大切なものだと思います。慎重に、でも楽しみながら、一本一本の『線』に命を吹き込んでいく子供達。生き生きとした動物達の模写がたくさん出来上がりました。難しい線にあえて挑戦したり、もっとこうしたいと自分で突破口を切り開いていく姿には何度も心を打たれました。
 
 そして、模写の次は構成。物語を画面へ構成する時に大切にしたことは『余白』の使い方です。東洋絵画の『余白』には、遠近感や時間の流れ、構図としての美しさなど様々な意味が込められています。さらに、絵巻物の場合は右から左に向かって物語が進んでいくという特性があります。こども達は自分の選んだ模写と、余白と、物語の進行を絡ませて、自分の物語を見事に『絵巻』として表現しました。物語の内容も一捻り、二捻り・・・!発表する時は緊張したかもしれませんが、意外な展開の連続に目を奪われ、とても面白かったです。
 
 この一ヶ月間、模写というとても根気のいる制作に一生懸命に向き合いながらも、笑顔を見せてくれる子供達の姿勢に、私自身もとても勉強になりました。子供達ひとりひとりに、ありがとうの気持ちでいっぱいです。そして、日本人であることに、誇りを持ってもらいたいです。
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