本田/小学生:まちの音
カテゴリ:小学生クラス
- 作成:辻悦子
小学生クラス 2013年6月
◎作品のねらい
・生活の中にあるたくさんの音の種類に気づく。
・音からイメージを広げ、目に見える形で表現する。
・普段使用しない材料や、表現方法を楽しむ。
◎ 感想/講師:本田雄揮(月・水曜日クラス)
6月は聴想画。
5感の中でも『聴覚』に注目し、目に見えない『音』を作品にしていく、ちょっと変わった制作です。
今回のテーマは『まちの音』。
普段あまり気にせず過ごしていますが、街には本当にたくさんの音が溢れています。
話し声、足音、自然のざわめき、動物の鳴き声、機械の動作音…。
そしてさらに、大きい音や小さい音、近くだったり遠くだったり…。
意識をすればこんなにも音があるんだ、と驚くほどです。
まずは、教室にいても街の音は分からない!ということで、音探しの旅(?)をする為、野外へ散策に。
幸いアトリエ5は、日本でも有数の活気ある商店街に面している為、音には困りません。
発見した音を、メモしていきます。
コツコツ、ザワザワ、シュー、ガガガガ…など、あっという間にメモはいっぱいに。
住宅地や商店街、公園など、場所によっても音の種類は違います。
音を敏感に捉えようとする子ども達の目はとても真剣。
その後、教室に戻り、新聞紙の文字を切り取っていく『文字集め』。
たくさん集められた文字は、フォントも大きさも様々で見ているだけでも楽しいです。
これらを音のイメージに合わせ、組んでいきながら『見える音』として黒画用紙に貼ります。
新しい『オノマトペ』がどんどん生まれ、感覚的な『音』が、感覚的なまま形になっていきます。
ここら辺の柔軟性は、さすがですね!大人ではここまで素直に感覚を出し切れないのではないでしょうか。
文字が貼れたら、次は『触れる音』として、ボンドやタコ糸で線を描いていきます。
ボンドで絵を描く新鮮さに、子ども達は大興奮!
次の週で、半透明に固まったボンドを触ってまた大興奮!
未知なるものと出会った、実にいい表情でした。
それで完成…と思いきや、今回は最後にもうひと山。
なんと、色々と貼ってきた黒画用紙を、真っ二つに切るのです!
細かい音がたくさん集まった黒画用紙を、さらに『音の塊』として捉え、もっと大きな台紙に貼り、音の世界を広げます。
正に、文字通り枠に囚われない大胆な行動。
もちろん、初めは子ども達からも戸惑いと不満の声が。
しかし、理由を説明すると『確かにその方が面白い!』とすぐさま納得。
やはりこの柔軟さ、見習うべきです。
切り方や大きい台紙への貼り方も、工夫ポイント。
多様な配置は、その子が感じていた『音の世界』をより深く表すことができ、大成功です。
そしてやっと本当の完成。
今までの作品とは全く種類の違う、新鮮な制作となりました。
具体的に目に見えるものがなくても、『感じる心』さえあれば自分の感覚を信じ、ここまで表現できるのですね。
子どもも大人も、情報が氾濫する現代で、徐々に些細なことを感じ取りにくくなっていますが、ただ流れに身を任せるだけでなく、そんな時こそ一旦足を止め、目の前の小さなことにも気づき、大切なことを『選び取る』ことが出来る人になってもらいたいなぁ、とか、そんなことを新聞の文字を集めながら思った6月でした。
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