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友達と梅

カテゴリ:小学生クラス

  • 作成:辻悦子

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◎ 講師:本田雄揮/制作:2016.3月

ねらい

・1年間過ごしてきたクラスの仲間への思いを込めて描く。

・4B鉛筆の線にこだわった表現、モノクロの構成の美しさを感じる。

・季節の花、梅を観察し、冬から春への移ろいを知る。

 

暖かい日差しが増え、確かな春の足音を感じられる3月。

今年度最後の制作は、クラスの友達と梅を描きました。

1年間、共に制作を支えてきた仲間。その思いを鉛筆の線に託します。

 

お互いモデルをし合いながらの10分クロッキーを行った後、同じように梅の枝を描きました。

「先生、この小さい蕾は人間でいうと何歳くらい?」

「赤ちゃんみたいだから1、2歳かな」

「じゃあこの開き始めているのは私達くらいかな」

「そうだね」

「じゃあこっちのこれは先生だね!」

「先生はもっと若いです」

冗談の中に感じる確かな観察する心。優しい線で成された梅は、スケッチブックを閉じるとこぼれてしまいそうなほどでした。

その後切り取ったクロッキーを、バランスを考えながら画用紙に構成。そして最後に背景を絵の具で彩色。

今回はカラフルな色は使用せず、白と黒のみの「モノトーン」で行いました。

理由は、思いを込めた4B鉛筆の線を大切に見せたいから。

子ども達もそれに納得。さもそれが当たり前のことのようにすんなりと受け入れました。

「絵のこの辺りが弱い気がする」

「ここの黒が強いなあ、これだと線が目立たない」

「いい色が出来たよ!きれいな丁度よいグレー!」

モノトーンで絵づくりしながら出てくる言葉は、およそ小学生のものとは思えません。

この1年間で培ってきた、描いて、見て、感じる心で、丁寧に紡いでいきます。

完成のタイミングも自分で判断。「これでよい」ではなく「これがよい」を自ら見つけ、皆満足のいく終わりを迎えられました。

今回は一見、地味に感じられる作品かもしれません。

しかし、実は全くの逆。

暖かく膨らむ4Bの線。

悩みながらも楽しんで考え抜いた構成。

細かな調節を何度も繰り返した絵の具。

例えるならば、多くの人が目を奪われるような、咲き誇る色鮮やかな花の美しさではなく、道に転がっている小石の中から同様のものを感じ取る感覚。

特別なことはない、日常の中から美しさを見出す力。

こんなに豊かなものはありません。

今回でアトリエ5での制作が最後の子も多くいます。

ここで自ら育てたその力に自信を持ち、新たな世界へと一歩ずつ進んで行って下さい。

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