「そんなのあり?」も「それいいね!」
カテゴリ:幼児クラス
- 作成:山田 稔子
新年のレッスンは講師のクロッキーで始まりました。前回の夏のクロッキーを見返して比べると、またそれぞれの表現の成長ぶりに驚かされました。見た目以上に、子どもたちの内面の育ちは著しいものですね。
さて1月のメインの制作は久しぶりの空想画。テーマは冬のごちそう、ほかほかのお鍋です。最初に墨で大きな円を描いてスタート。鉛筆での描き初めは前週にしたけれど、グルリと大らかに筆を回し描く気持ちよさに、子どもたちのスイッチがONになるのを感じます。その魅力的な墨線の円をお鍋とし、様々な和紙や色紙を具に見立てて切り貼りします。「○○を入れるとおいしいよ」「小さく切ると赤ちゃんも食べられるね」「何人前かな」「動物たちも食べに来るお鍋だよ」ワイワイと楽しげに制作が進みます。
クロッキーや観察画の時は幼児さんでもピリっと集中する空気が流れますが、空想画制作のときの教室は賑やかで活気に溢れます。お喋りに講師も乗っかり、先生それはヘンだよーと鋭い指摘を受けたり笑。
こういう時間に覗く、とりとめのないような子どもたちの自由で豊かな発想。現実の生活の中では自分の想いよりも先に常識や正解を求められる場面も多くて、ありえないことや笑われそうなこと、でも本当は素敵な、自分だけの考えを解き放つ機会というのはおそらく限られているでしょう。小さい子どもたちの間でも、大人の求める答えを気にするあまり、自分の考えにフタをする癖がついてしまっていないかなと思うのです。
絵の中では、それらを思うがまま開放してみて欲しい。お友達とワイワイ話しながら「そんなのあり!?」という発想も、絵を通して「それいいね!」と肯定的に受け止められていく経験は、自分自身が認められた喜びとなり、自信に繋がっていきます。思ったことを声に出していい。形にしていい。また仲間がいるからこその相乗効果でより温まっていく空想の画面、この時期このメンバーだからこそ出来た絵というのも素敵ではないでしょうか。食卓を囲む時のような和やかな様子での制作でした。