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四年目の成長

カテゴリ:日本画水彩

  • 作成:山田 稔子

作者の感想:小宮 一道/おとな美術コース・土曜日午後クラス

 

岩絵具2作目のモチーフは大好きな椿の花です。花屋から鉢植えの茶花椿を買ってきていくつも楽しくデッサンしました。先生がご自身で集めた椿のカレンダー切り抜きコレクションを見せてくださり、様々な大家の描いた椿を見てイメージがどんどんふくらんでゆきました。

今回は、まだ使い慣れない岩絵具を思い切り使った作品にしようと考え、出来上がりの結果はどうあれ、教本に載っている様々な技法をためしてみようと思いました。厚手の美濃紙に水干絵具の白群を下地塗りし、そこに骨描き、一部に陰影効果をねらい墨を入れました。葉や花の彩色を前に赤には緑、緑に赤の補色の下色を乗せました。習ったことを実際に絵の制作に取り入れることができてわくわくしました。

山吹で背景を塗り、水干絵具で葉や花に固有色を入れ、ひと通り水干画は完成です。ここまで描けば自分としては「上等」なわけであります。しかし、「岩絵具を使ったあらゆる技法」という前述の自分に課した未知の課題に挑まねばなりません。「研ぎ出し」という技法です。花の中心部を除くモチーフ全体に鶸色の岩絵具を塗ってしまうのです。ここまでせっかく描いた絵がまったく見えなくなりました。一瞬、愕然茫然。研ぎそこねたらすべてがパーになってしまうと焦りました。しかし、なんとか水で固く絞った布で元の絵を研ぎ出すことができた時の安堵感は最高でした。その後、岩絵具でのフィニッシュを迎えることができました。毎回制作のたびに、ミラクルとも言うべき先生のアドバイスで画面が見事に引き締まってゆきます。

ひたひたと老いに向かって行く日々にありながら、日本画制作にわずかながら自己の成長を認めることのできた嬉しい作品でした。アトリエ5での時間は、夢見る少年にもどることのできる胸はずむひとときです。

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