体験を予約する

┃ blog ┃

中高生 デッサン/えらべるかな
[中高生クラス] 2019.01.25
中高生 デッサン/えらべるかな
底冷えする寒さの中、ほんの少し長くなった陽が春へと続く歩みを感じさせてくれます。油絵制作を終えた木曜中高生クラスではこの1月、木炭デッサンに取り組みました。黒い布の上に丸ごとの白菜。目標は美しい白色を表すことと、ずっしりとした量感、存在感を感じて描くこと。その為に必要なことは何か、そして不必要なことは何かを考え、木炭の持つ特徴を活かしダイナミックに制作しました。ギリギリまで細部を描きこまず、木炭の粉を画面につけては手やガーゼで整え、さらに黒を重ねる。積極的に作品とのやりとりを行い、何かを奏でるか、または踊るようにかたちを変え、スピードを変え動く手。常に全体を意識し、粘土を捏ねる様に陰影やコントラストを作り上げていきます。そうして白菜の持つ重量感を追い、美しいモノクロの作品へと仕上げることができました。皆の作品を並べて見ると、油絵でも見られたそれぞれの持つ特性が如実に映し出され、表現することへの芯の安定が見て取れました。ねらいをしっかりと理解し、それらを超える表現を見せてくれたのは、さすがは中学生。大変意義のある制作となりました。   デッサンに限らず、油絵も含め何枚も制作を繰り返してきた中学生。当たり前ですが『できること』は増えていきます。細かい描写、色彩への判断、構成への意識、陰影の理解。しかし、それら全てを100%作品に注ぎ込めば自分の納得する作品に仕上がるかというと、実はそうでもありません。大切なのはできることの中から『えらぶこと』。今回は細部の描写を思い切って後回し、ほとんど無視しました。そうすることで異なる、見えてくるものがあります。その見えてきたものの中に、自分にとっての新たな課題が眠っているのです。そしてまたひとつ『できること』が増えるのです。引き出しを全部開けひっくり返すような制作も時には大切ですが、どの引き出しを開け、そしてそこから何を取り出し使うかを考え、試みる制作もまた大切です。   今回の制作で選んだこと。その視点を忘れずに、大切にして下さい。
中高生 油絵/輪郭線を突き破り
[中高生クラス] 2018.11.23
中高生 油絵/輪郭線を突き破り
乾いた風に落ち葉舞う季節。今年もあと僅かとなりました。中高生秋の制作もいよいよ大詰め。木曜クラス『アジとハラン』も順調に完成へと向かっています。行事やテストなど忙しい学校生活の中、週1回2時間の取り組みを集中力と熱意をもって行い、自分の表現をさらに深められています。色の研究を熱心に行う生徒、パレット上での混色がより丁寧になった生徒、筆づかいに新たな試みを加え、画面上での質感に意識が向くようになった生徒、陰影に対する理解が一層増した生徒。それぞれが目指すゴールまで一体何が必要か、皆しっかりと考えることができています。 元より長年培った技術と絵に対する理解がある中高生ですが、今回の制作で油絵具や、それらで表現することへの関心がさらに高まったように感じます。それはただモチーフだけに集中して描写するだけではない、キャンバスの四隅まで意識を張り巡らし、『もの』がない空間にもそれと同じぐらいの愛情を込めて絵の具を置くことであったり、輪郭線に拘り過ぎずに陰影を観察し、もの同士の関係性をよく見つめ、画面全体に統一感を持たせたりする姿に顕著に表れています。つまりそれは『視野の広がり』を獲得できているということ。作品を『ひとつの平面』として捉えられ始めているということ。ひとつひとつを輪郭線の中でただ描き上げていくのではなく、画面上を行ったり来たり、何度も巡り巡って平面1枚としての強さをつくっていくことの面白さを理解し始めた、制作中の皆の表情をみているとそれを感じます。 輪郭線を突き破り、さらに広がる世界へ。正に中学生らしい成長です。ラストスパート、あと少し頑張りましょう。   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 中高生クラス秋の制作合評会 12月20日(木) 19:00~ 木、金曜クラス合同で行います。 保護者、OG、また、来年度中高生クラス希望の高学年油絵クラスの生徒の皆様も是非お越し下さい。 参観希望の方は事前に講師までお申し出下さい。    
中高生 油絵/小学生と高校生の間
[中高生クラス] 2018.09.21
中高生 油絵/小学生と高校生の間
秋雨が残暑を拭い、雲の切れ間から見える空が高くなってきました。合評会、鑑賞会と充実した夏を超え、中高生秋の制作が今月から始まりました。木曜クラスのモチーフは『アジとハラン』。春の制作で発揮された構成力や観察力をさらに磨き、油絵の新たな表現を知ることが目標です。9月は主にアジのスケッチやハランとの組み合わせ方、作品全体のイメージを広げる作業に費やし、ひとつひとつの工程を丁寧に深めながら進めました。アジ特有のフォルム、鈍く輝く複雑な色、ハランの曲線と直線が導く豊かな影。自然物としての美しさが存分に詰まったモチーフを、新鮮に、且つ思慮深く観察し鉛筆を動かしていきます。個人毎にモチーフを組んでの制作は久しぶりだったのですが、ブランクを感じさせない、寧ろ以前にも増して生き生きと躍動感溢るる取り組みは、確かな成長を感じさせてくれます。 中学生という多感な時期に、描くこと、表現することと正面から向き合い、素直さをもって自らを喜びへと誘うことができること。今回まずアジを描くことを伝えた際、若干苦い顔をしていた皆が、いざ制作に入ると打って変わり、どこまでも輝く目を以って、触ったり、近くに寄って観察したりしている姿を後ろから眺め、その力を思いました。モチーフと対話することは、小学生クラスの時に学んだこと。そうしていると表情もその時のような、どこか幼さが感じられる程の純粋さが映ります。しかしモチーフから一旦離れ描写に掛かる際は、さながら高校生や大人のような思考深い顔つきで、半年前より一回り逞しくなった技術を発揮していきます。両者を併せ持つ成長著しい10代。アトリエ5の中学生はとても充実しています。 きっと今しか描けない作品になることでしょう。目が離せません。
【報告】海外レジデンス「ラトビア」
[中高生クラス] 2018.08.23
【報告】海外レジデンス「ラトビア」
中高生クラス講師(金曜日):吉田一民 今年の夏に1ヶ月ほどラトビアの方に行っていました。目的は向こうで3週間ほど滞在して絵画制作をして来るというものです。滞在制作は主にヨーロッパやアメリカではメジャーになっているもので、今回のような現地で制作することをアーティストインレジデンスと言います。プログラム期間は年単位から数ヶ月と季節を問わず色々あるのが特徴です。 私が今回のレジデンスに参加する目的は、海外で制作し発表するという機会を作ってみたかったということと、体力のあるうちに行っておきたいと考えたからです。実際に、制作が始まると非常に忙しく朝から晩までほぼスタジオにこもることになり、毎日クタクタになって寝るといった感じでした。ワークショップや助成金をもらっての制作など充実している所もありましたが、語学や現地の事前調査など、自分に足りない所も実感することの方が多く反省も多いレジデンスもあったと思います。今後も機会を見つけて参加出来ればと考えています。 最後に、レジデンス期間はアトリエ5の授業に出ることが出来ずご迷惑をおかけしました。また、フォローして頂いたスタッフの方々に感謝をしたいと思います。
中高生 油絵/継続と挑戦と分岐点
[中高生クラス] 2018.08.11
中高生 油絵/継続と挑戦と分岐点
高学年油絵クラスから約1ヶ月後、中高生クラスでも木、金曜合同で春の制作合評会を行いました。お越し下さった保護者、高学年クラスの生徒、OGの皆様、お忙しい中誠にありがとうございました。 大きくなったキャンバス、今まで知らなかった下地や陰影への理解、描いたことのないモチーフ。戸惑い、悩みながら4ヶ月の制作を『継続』と『挑戦』をもって乗り切ってくれた皆さんの発表、一人ずつの言葉が完成作品に一層の魅力を与えていました。油絵具の限りない可能性へと踏み出し、それが自己を見つめ、世界を広げ始めた中学生、高校生である皆さんの内面と調和され、『自立した表現への始まり』となった、そんなことを感じます。 今まで仲間と同じ道を歩んできたその中で、自分だけが感じた美しさ、変化する環境、新たな目標により、自然と異なる道を見つけ、それぞれが枝分かれしていく。分岐点を知る。見つけた道の到達が何なのか、現時点で明確ではないとしても、先ず以って道かどうかも分からないとしても、今は自分が僅かでも信じた可能性、表現を追い求め、一歩二歩と、自信を持って進んでいくこと。ずっと制作を続けてきた中で、分岐点を知り、道なき道に一歩、踏み込んだこと自体に価値があることを理解すること。本をただせば同じ道を歩んだ仲間が、同様に自分の見つけた場所を踏み進んでいること。それらを胸に、また新たな制作へと向かって欲しいです。皆さんの『継続による挑戦』、大変嬉しく思います。
中高生 油絵/若葉の挑戦
[中高生クラス] 2018.05.25
中高生 油絵/若葉の挑戦
立夏を超え、春に芽生えた生命が逞しさを増していく季節。中高生クラスでは、春の制作『楽器のある静物』も折り返しとなりました。今年度から新中学生になったメンバーを加え、それぞれが新たなスタートを切り、とても好調に進んでいます。今回のモチーフは講師陣の私物。音色だけでなく、その様相もピカピカキラキラしてとても美しく、皆初めて描くものに一層の興味を抱いてくれました。その感じたものがどのように絵に表れてくるのでしょうか。完成までここからが正念場です。 モチーフだけが新鮮な訳ではなく、自分で色を考え行う下地、大きくなったキャンバスなど、新たな試みは個々で違えど、全員が次のステップへと挑戦しています。十代らしい漲るエネルギーが、筆の動きや画面を見つめる瞳に表れ、仮に人生に季節があるのだとすれば、この年頃は正に今、この新緑の季節が相応しく、青々として日に日に逞しくなっていく若葉のような、そんな美しさに思い馳せさせてくれます。恐れずに、どんどん欲張って吸収し自分の『やりたいこと』を『できること』へと昇華させていきましょう。それを可能にする実力、そして熱意は十分に備わっているのですから。合評会が楽しみです。
体験を予約する