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四年目の成長
[日本画水彩] 2018.03.21
四年目の成長
作者の感想:小宮 一道/おとな美術コース・土曜日午後クラス   岩絵具2作目のモチーフは大好きな椿の花です。花屋から鉢植えの茶花椿を買ってきていくつも楽しくデッサンしました。先生がご自身で集めた椿のカレンダー切り抜きコレクションを見せてくださり、様々な大家の描いた椿を見てイメージがどんどんふくらんでゆきました。 今回は、まだ使い慣れない岩絵具を思い切り使った作品にしようと考え、出来上がりの結果はどうあれ、教本に載っている様々な技法をためしてみようと思いました。厚手の美濃紙に水干絵具の白群を下地塗りし、そこに骨描き、一部に陰影効果をねらい墨を入れました。葉や花の彩色を前に赤には緑、緑に赤の補色の下色を乗せました。習ったことを実際に絵の制作に取り入れることができてわくわくしました。 山吹で背景を塗り、水干絵具で葉や花に固有色を入れ、ひと通り水干画は完成です。ここまで描けば自分としては「上等」なわけであります。しかし、「岩絵具を使ったあらゆる技法」という前述の自分に課した未知の課題に挑まねばなりません。「研ぎ出し」という技法です。花の中心部を除くモチーフ全体に鶸色の岩絵具を塗ってしまうのです。ここまでせっかく描いた絵がまったく見えなくなりました。一瞬、愕然茫然。研ぎそこねたらすべてがパーになってしまうと焦りました。しかし、なんとか水で固く絞った布で元の絵を研ぎ出すことができた時の安堵感は最高でした。その後、岩絵具でのフィニッシュを迎えることができました。毎回制作のたびに、ミラクルとも言うべき先生のアドバイスで画面が見事に引き締まってゆきます。 ひたひたと老いに向かって行く日々にありながら、日本画制作にわずかながら自己の成長を認めることのできた嬉しい作品でした。アトリエ5での時間は、夢見る少年にもどることのできる胸はずむひとときです。
立体を直接描く
[中高生クラス] 2018.03.12
立体を直接描く
前回の、限界まで細部を観察する細密描写の次に行ったのは『木炭デッサン』。大きな植木鉢を描画用木炭を使用し制作しました。同じモノトーンによる制作ですが、鉛筆と木炭では画材の特性が大きく異なります。細密に向いている鉛筆から一転、大きな塊を『線』ではなく『面』で捉え表現すること。また鉛筆よりも幅広いトーンが使用できる木炭なので、それを活かし繊細な色をつくることなどが今回の目標です。両方とも、ものを『立体的』に描写する上で欠かすことのできないことです。 木炭は定着力(紙にくっつく力)がほとんどないその特徴から、それ自体を使って描き重ねていくというよりも、まず紙の上に炭の粉を乗せ、それらをガーゼや食パン、ねり消し、そして手や指を活用し形を起こしていくという進め方をします。木炭をつけては取り、またつけて取る。制作中の体の動きも大きくなり、手はすぐに真っ黒になります。直接紙に触りながらの制作は、さながら砂遊びや粘土をこねている様です。鉛筆や筆を使用した描写と違う作品との『距離感』。紙の上で実際にモチーフを作っているようなダイレクトな感覚。この『直接的』が『立体的』をつかみ取る為のきっかけです。鉛筆や筆でのある意味『間接的』な描写に変な慣れ方をしてしまうと、ついつい観察の対象や目の前の作品と自分との間に妙な隔たりを感じる場合があります。テレビの画面を通して見ているかのような、どこかよそよそしいその感覚は、奥行きを消し去り、作品を意図せず『平面的』にしてしまう危険があります。それらに支配されず、大切なのは鉛筆や筆を使用していても、それらが自分の指先であるかのような意識、油絵でもキャンバスに直に触れているイメージ。今回の木炭デッサンで知り得た技術より大切なこれらのことを忘れず、作品に立体感、つまりは深みと広がりを与えていって欲しいです。
描くことで知る日常の変化
[デッサン油絵] 2018.03.08
描くことで知る日常の変化
【作者の感想】渡邊志保:30代 主婦 アトリエ5に通い始めて3ヶ月が経った頃、昇仙峡の渓谷を散策する機会がありました。川の水の流れや木々の紅葉を見ながら、光りの当たり方や影の様子、色のグラデーションなど、デッサンをする時の様な視点でいろいろなものを見ている自分に気がつき、少しだけ感性が豊かになった様な嬉しい気持ちになりました。 これから「絵を描く」ということで自分自身の感性や日常がどの様に変わっていくのか楽しみです。   【作者の感想】高井絵里子 30代 主婦 入会したばかりの頃は”うまく描かなくては”という気持ちが強かったのですが、今は自分が見て感じた事を表現する大切さに気がつけたので、また違った視点から物事を見られる様になった気がします。 今回、スプレー缶を描くにあたっても沢山の学びがありました。これからも更なる表現の広がりを目指して楽しく描いていきたいです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【おとなクラス 生徒募集】 生徒さんのお母様やOBOGの復活組もあり、楽しみな春を迎えています。 新規の方もアトリエ5で楽しく絵を描いてみませんか? まだ迷っている方も是非お気軽にご体験にお越し下さい! =欠員状況= 午前クラス 10:30〜12:30:火曜日・木曜日・土曜日 夕方クラス 16:30〜18:30:土曜日 4月開講 大募集〜!   ◆対 象: 学生〜大人 ◆内 容: 鉛筆デッサン入門コース 中級編上級編あり ◆体験受講料:通常¥2500→¥2000 3月末まで ◆申 込:ネット予約(24時間受付) ☆初心者の鉛筆デッサン体験レッスンのご案内☆  内容:「ガラスのコップを描こう!」 = 制作の流れ = ①基本の線の練習:縦と横・筆圧やスピードなど ②ガラスのコップのデッサン:形の取り方のコツ ③ガラスの質感:鉛筆のタッチを重ねて、濃淡を作る *鉛筆やモチーフなど用具は全て教室でご用意します。 *F4スケッチブックは当日お持ち帰りできます。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ◎参加者の受講後の感想 ♡わかりやすい指導で久しぶりに集中して描けた! ♡静かな時間の中で、心の中から楽しいと実感! ♡短い時間でも描くコツがわかり、上手く描けた!  
神は細部に宿る
[中高生クラス] 2018.02.02
神は細部に宿る
新年を迎え、中高生クラスではそれぞれのスキル向上、視野の広がりをテーマに、ひと月ごとの制作が始まりました。初回となる1月は、質感やディティールを徹底的に描きこむ『細密描写』。ウルメイワシや飛魚の干物をモチーフに鉛筆デッサンを行いました。今まで抱いていた鉛筆デッサンのイメージを超え、『ここまで描くことができるんだ』と新たな認識を獲得し、表現の幅を広げることがねらいです。また、鉛筆という一見慣れ親しんだように思われる画材も、使い方によってまだまだ多くの可能性が残っていることを知り、濃淡による『美しさ』を感じ取るまでに至って欲しいという講師の思いもありました。 カッターで鉛筆を削りながら集中力を高め、使用する種類を選択し、筆圧や芯の角度に気を配り静かにタッチを重ねていく。白い絵皿と干物のコントラストを感じ、魚の持つ独特の皺や表情を写し取っていく。陰影の持つ繊細な移り変わりを深く観察し、紙の白さを『空間』にしていく。どの作業も気を張り詰めるものばかりで、それぞれ学校を終え息つく間もなく取り組むことは大変なことだったと思います。その頑張りあってか、皆表現への新たな一歩を踏み出すことができていました。とても素敵な、今鉛筆デッサンを行っている小学生から大人まで参考に見せたい作品が仕上がりました。   『木を見て森を見ず』という言葉があります。細部ばかりにとらわれず、全体を望む広い視野を持つことが大切という意味です。一方で『God is in the detail(神は細部に宿る)』という言葉もあります。広い視野と共に細部にこだわる熱意、そのバランスが重要です。今回は、自分にとってその細部が一体どこまでなのか、言い換えれば『木』なのか『葉』なのか『葉脈』なのか、もしかするとさらにその先なのか、それを知る制作でした。同時にその後ろには大きな『森』があることも忘れてはいけません。柔軟な視野を自在に扱えるように、2月の木炭デッサンもそれらを意識して行っていきましょう。
過ごしてきた時間が作品に表れる
[おとな美術] 2017.12.26
過ごしてきた時間が作品に表れる
12月23日(土)におとなクラスの合評会を行いました。 曜日や技法などを超えて様々な方が一堂に集まり、それぞれの普段の制作に対する思いや、作品の背景、今課題に感じている事などを一人ひとり発表して頂きました。   発表を聞いて率直に感じたのは、恥ずかしながら「生徒さんはこんな事を思っているんだ!」という事でした。 普段なるべく生徒さんの意向を聞きながらの制作指導を心掛けているつもりですが、生徒さんの作品に対する向上心の高さや洞察の深さ、自身の課題を的確に捉える力などが発表の中から感じられ、まだまだ聞き取りが甘かったり、観察が足りなかったのだと、身が引き締まる思いがしました。   また、アトリエ5での時間がその人にとってどのようなものなのか、といったお話も聞く事ができました。「日常とは違う視点を養う事ができる時間」「じっくりと1つの物に向き合う時間」などの言葉があり、それぞれがアトリエでの時間を新鮮に感じていたり、大切に思っている事が伝わってきました。 社会人になってから習い事に通う・絵を描く時間を捻出する事は、本当に大変だと思います。ですが、社会人だからこそ「絵を描いていない時間=日常」をどう過ごしているかが作品に大きく影響を与えると思います。それはモチーフの選択、または光の設定や色の選択であったり様々ですが、その人のパーソナルな部分が作品に深い味わいを与えているのだと、発表を聞いていて感じました。 みなさんの絵・美術に対する真摯な取り組みに応えられるように、講師もさらなるレベルアップを図り、充実した時間を過ごせるよう精進して参ります。   最後に、私ごとで恐縮ですが、本ブログでも以前に紹介しました自分(横山)の個展にご来場頂きましたみなさま、誠にありがとうございます。この場をお借りしまして御礼申し上げます。 今回の個展では、多くの方とお話をしたいと思っていたので、なるべく在廊をするようにしていました。そんな時間の中で2つ大きな収穫がありました。1つはもちろん色々な方の絵に対する意見・感想を聞けた事ですが、もう1つは、展示してある自分の絵を眺める時間がたくさんあったという事です。 制作から離れて自分の絵を観る事で「もっとこうすれば良くなるな」など、多くの気付きを得たり、作品に対する考えを深める事ができました。   アトリエ5でも来年度は作品展があります。早い方だとそろそろ出品作について考え始める頃かと思いますが、作品制作のスケジュールについて、なるべく余裕を持った期間を設けるようにして頂くことをお勧めします。 作品制作に於いて、途中の段階で必ず「この先どうしようか」と迷う場面が来ると思います。そんな時、焦って描き進めるのではなく、一旦立ち止まって自分の絵を眺める、観察する時間を作ってあげると、さらに良い作品が出来上がるかと思います。   年末年始の長い休みでリフレッシュし、また新たな気持ちで制作に取り組みましょう! 来年もどうぞよろしくお願い致します。良いお年をお迎え下さい。
白熱した発表会
[中高生クラス] 2017.12.22
白熱した発表会
制作:2017 12月 ◎感想/講師:吉田一民 今年最後のクラスでは夏過ぎから約4ヶ月かけて描いた作品の発表会を行いました。 発表会は毎回のように白熱するのですが今回は講師の先生と保護者の方々に加えて、特別ゲストで来てもらったアトリエ5卒業生でもあり、現在美術大学に在籍している2名を加えての発表会という豪華なメンバーでのスタートになりました。 今回の課題モチーフは基本的に白や透明なものを中心にしたこともあり、出来上がった生徒作品も非常に個性豊かになり、1人1人の発表もタイトルから内容の説明まで非常に多彩だったと感じます。発表者も質問等にしっかりと受け答え出来ていて成長した所を見ることが出来ました。 本来は発表に対する講師陣のアドバイスで終わるのですが今回は現大学生からの素晴らしく的確なコメントも飛び交い、目の前にある作品だけでなくこれからの未来に対する「一歩先の話合い」が出来ていたのではないかと思います。発表会が終わってみれば、程よい疲れの中に自分の目標に対して手応えがあった人も多いのではないでしょうか。今回来て頂いた保護者と大学生の方々に改めてお礼を申し上げたいと思います。充実した時間ありがとうございました。また、クラスの皆もお疲れ様でした。年末年始でゆっくり休んで下さい。 今月で自分がアトリエ5に来てから2年が過ぎました。ふと思い出す事は生徒たちの成長と共に歩んできた日々です。週末、学校が終わった後の金曜日、暑い日も寒い日も、行事で疲れていても足を運び絵を描きに来ているその姿勢に驚きを隠せません。まさに継続は力なりという言葉の通りなのだと作品を見て感じる今日この頃です。これからもお互い頑張っていきましょう。良いお年を。 金曜日 中高生クラス担当 吉田一民
初めての鉛筆デッサン「ガラスの質感に迫る!」
[デッサン油絵] 2017.12.21
初めての鉛筆デッサン「ガラスの質感に迫る!」
この秋ご入会のお二人が、紙コップなどで基本を学んだ後、ガラスの質感や陰影に挑戦しました。どちらもテーブルへの関心が芽生えた頃に、不思議とモチーフが良く観えてくる様になり、この「観える!」感覚の変化がとても大事で、五感についてもお伝えしながら丁寧に描き進めて頂きました。 途中、静かに描いていても心の中では「あ〜違う、、こうじゃない、、もっとこうしたい!」と苦慮する真剣な表情に、デッサンのおもしろさにぐいぐい惹かれていく様子が伝わり、逆に嬉しくなりました。無心に鉛筆を走らせる音がテンポ良く響く頃に完成となり、仲間からの祝福の拍手にようやく笑顔が見られ安堵しました。とても素敵な作品です。お疲れさま! 【 おとなクラス生徒募集 】  アトリエ5で絵を描きながら、自分が美しいと感じるモノやコトを見つけましょう。単に上手になる事だけを目指すのではなく、日々の暮らしの中で忘れかけていた感受性を取り戻し、仲間との学びの中で表現する喜びと瑞々しい活力を得て下さい。 初級・中級・上級とご自分のペースで無理無く上達して頂ける個別指導で、鉛筆デッサン、色鉛筆画、水彩画、油絵、日本画、版画など、各講師の専門性を活かした柔軟なカリキュラムです。 新年から絵画を始めたいという方、まず体験レッスンにお越し下さい。生徒さんの保護者の方やOBOG、ご紹介の方も体験受講料は無料になります。残席僅かなクラスもございますので、お早めにご予約をお待ちしております。 火曜日午前クラス 10:30〜12:30 講師:辻 水曜日 夜クラス 19:00〜21:00 講師:本田 木曜日午前クラス 10:30〜12:30 講師:辻 土曜日夕方クラス 16:30〜18:30 講師:本田 (3月まで予約可能・24時間受付)
挑戦
[中高生クラス] 2017.12.20
挑戦
子供油絵クラスに続き、先週は木曜、金曜それぞれの中高生クラスでも、秋の制作合評会が行われました。『白と半透明のモチーフ』という難しいテーマに各々の挑戦が見られ、発表の言葉の中にも作品に対する深い思いが込められていました。タイトルによって作品の印象を決め、鑑賞する人に向けての意識を忘れず、良い部分だけではなく自作を冷静に見つめることができる真摯さ。とても良い合評会でした。 囲むほどの大きいモチーフは初めての中学生。今まで『つくって』いた画面構成を、今回は『切り取る』という違い、画面からはみ出る部分の多さ、奥行きのある空間、限定された色彩など、驚くほど新しいことが詰まっていました。描き始めは今までの経験をベースに順調に進んでいましたが、徐々にこの課題の難しい点に気が付き、後半は頭を悩ませることが多くなりました。『こうしよう、こうやって進めよう』という意志の明快さが、『本当にこれでいいの?』という自身に向けての疑問に変わる。新たな問題が見えてくるということは、それだけものを見る目が養われてきたということ。絵に対する視野が広がってきたということ。今回、前作よりも作品に対して疑問を投げかけることが増えたのは、小学生ではなく中学生としての挑戦、取り組みが深まってきた成長の証です。その問題に最後の最後まで粘り答えを見つけようとした姿勢はとても素敵なものでした。かげの色の作り方や、油絵としての形のとり方、空間表現…。見つけた課題と答えをこれからも追求していって欲しいです。 一方、それらの経験も豊富になってきた高校生は、挑戦することの難易度もどんどん上がっていき、その分新たに見えてくる問題も難解になってきました。それにより、絵を描くということは『ものを描く』ということと同時に『空間を描く』ということであると少しずつ理解してきたように思います。何もないと思うところにも、何かと決めて絵の具を置かなければならない。ひとつのものを描きこむということは、周りとのバランスを考え行わなければならない。鉛筆デッサンにおいても、形の正確さはもちろん、さらにその中で自分が感じた『美しさ』を表現しなければならない。自分の理想に近づいていくために『必要』なことが後から後から湧いてきます。その膨大さに一瞬気が遠くなり、嫌になってしまうこともあるかもしれません。しかし忘れてはいけないことは、それらを『楽しんで』行うということ。辛さと共に塗った絵の具は、人の心を動かしません。この問題にどう答えようか、一番面白い方法は何だろう、それらを考え、実行することが、実は本当の『挑戦』でもあります。必要性をただのノルマとしてではなく、未知なる表現へと転換していくこと。時間がかかる挑戦ですが、きっとできると信じています。一歩一歩焦らずに進んでいって欲しいです。 このメンバーと共に制作できるのも、残り数カ月。良い影響を受け合うことができる素敵な仲間です。最後まで楽しく制作しましょう。  
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