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ぼかしで表現する遠近感
[色鉛筆画] 2016.08.05
ぼかしで表現する遠近感
 第3回~5回の色鉛筆講座では、3回に渡り「ぼかしによる遠近感の表現」を学びました。色鉛筆はグラデーションを細かく調整しながら描く事ができるので、この技法が使えるとぐっと表現の幅が広がります。 今回の課題では、木片を3つ配置し、どれにピントを合わせるかの設定から始めました。ピントを合わせた木片からの距離に応じ、その他の木片をぼかして描く事で、遠近感を強調したり、主役となる木片を目立たせる事が出来ます。設定したピントに応じてぼかして描く部分については、見えているそのままに描くわけではないため、今までの課題より難易度は高めでした。しかし、その分画面の隅々にまで意識が及ぶため、完成作品も習作という事を超えて、1つの絵としてより表現力の強いものになったと思います。 今回は静物画でしたが、風景画や人物画にぼかしの表現を取り入れてみても面白いかも知れません。まずは、対象をしっかり立体的に描けるという基本が大切ですが、基本が身に付いてきたら、ステップアップとして色々な描き方を試してみると、新たな発見があり良いと思います。 また、絵ではなく写真なのですが、実際にぼかしの効果を利用している作家さんがいるのでご紹介します。●本城直季さん実際の風景なのですが、画面の周りをぼやかす事で、ミニチュアのジオラマのような不思議な光景となっています。
鉛筆の”線の集合体”
[中高生クラス] 2016.07.22
鉛筆の”線の集合体”
作者の感想/中高生クラス アシスタント:中村朝咲(武蔵野美術大学) 私は小学1年生のとき、母の紹介でアトリエ5に通いはじめました。 アトリエ5は、子供の頃の私にとって唯一自分の世界を存分に広げることのできる場所でした。ただ絵を描くことを教える、教えられるの関係ではなく、一緒になってその時その時の作品について考え、感じていく。自分の好きなこと、自分だけのこだわり、そういうことにとことん付き合ってくれるのがアトリエ5というところです。  今回のたまねぎの鉛筆デッサンは、鉛筆の"線の集合体"によってモチーフを描くということを意識して描きました。これは色鉛筆の技法から影響をうけて思いつきました。鉛筆デッサンなのだから線で描くのは当たり前だと思われるかもしれませんが、たまねぎを描くことだけに夢中だった私にとってこれは大きな発見でした。 当時の私はこれに気づくまで、モチーフの魅力を描こうと思いつつも、どこかただ何となくそれを描いてしまっていて思うように描けていなかったのです。そんなとき、横山先生の色鉛筆の特別講座と出会い、今まで知らなかった色鉛筆の使い方を学んだことによってそれを発見し、鉛筆デッサンに活かしました。 デッサンを学んでいくにあたって鉛筆でのデッサン力を高めていくことはもちろん大切です。しかしそれだけでなく物の捉え方、考え方は固定せず柔軟でいることも大切です。今回の私の場合は色鉛筆でした。しかしどこにヒントがひそんでいるか分かりません。皆さん、美術に限らず色々なことをたくさん経験して下さい。そうして得たものはただの線一本であっても全く違うものに変えていってくれるはずだと私は思います。
ラストスパート!
[中高生クラス] 2016.06.25
ラストスパート!
 ◎感想/講師:吉田一民中高生クラスでは現在、3ヶ月かけて油絵を制作しています。作品は7月一杯で完成となるので現段階ではまだまだ途中ですが、日々成長していく本人達と共に作品の方も様々な変化が見られ、考え方や物事の捉え方の幅が広がっていると共に、色使いや形を表現も上達してきているなと感じます。 作品を制作する中で、本人達も描き始めは悩んだり描き直したりと試行錯誤を繰り返していましたが、段々と作品に色が付いてくると私自身が何も言わなくても、自分自身の考えで表現し工夫していおり、日に日に良くなっていく作品の姿に私も毎回驚かされています。また、作品の描き込みなどを見てみると対象をよく見て観察して描いており、以前に行ったデッサンの経験が生きてきているなと本人達も感じているのではないでしょうか。作品について話しをする中で「ここは明るい空間にしたい」「メインの色で考えたい」「模様の表現を頑張りたい」など、様々なアイデアや課題を持って表現している様子が伺えます。しっかりとした考えを持って話す所などとても素晴らしいと思うので大切にしていってほしいと思います。 油絵の方も中盤を過ぎ少しずつ完成が見えてきたのではないでしょうか。あと一息となります。ラストスパート頑張りましょう。
色鉛筆画:「ぬくもり」
[デッサン油絵] 2016.06.19
色鉛筆画:「ぬくもり」
作者:松永晴子/おとな美術コース・土曜日午前クラス妊娠・出産を機に長い間通わせていただいたアトリエを辞めることになり、これが最後の作品となりました。最初は鉛筆でまっすぐな線を均一に描けなかった私が、ようやくティッシュBOXデッサンまでたどり着き…けっこう上手く描けたんじゃないか?と自負しては、先生に白いティッシュの素材感が出ていないとダメ出しされる日々。しかし今見ると、鉛筆一本で描いた作品にもかかわらず私らしさが出ているなぁと感じます。その後色鉛筆画に移行したものの、なかなか自分の思った色が出せない。そこで、絵の具を混ぜて色相環を作る色彩構成に取り組んだり、横山先生の色鉛筆講座で補色について学んだりしました。どれもこれも、今回の作品につながっています。この絵は、喜怒哀楽を手の色形によって表現したものです。これを描きたいと思ったきっかけは、クリスマス交流会で他クラスの生徒さんの喜怒哀楽作品を目にしたからでした。思わぬ場面で良い刺激を受けることとなりました。 制作には、喜びのイメージ、怒りのイメージ…とそれぞれ箇条書きにし、自分自身の感情と向き合う手順を踏みました。手に光を受ける感じを表すのは難しかったですが、先生におすすめいただいた黒田清輝展に足を運んだのが役立ちました。自分の手の以外の部分は抽象表現となりますが、背景の色や描写を決めていくなかで、実際に雑草の取材に行ったり、オーロラの写真集を参考にしたりしました。私が今まで描いた中で1番サイズの大きい作品でしたが、それでも描きあげることができたのは、子どもが生まれたら見せてあげようという気持ちがあったからだと思います。喜怒哀楽、どの手も、柔らかい光、あたたかい光、包まれるような光に手を伸ばしています。これからたくさんの人の手に触れる我が子が、そのぬくもりを感じながら成長してくれることを願っています。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・松永様の過去の制作https://atelier-5.com/blog/otona/adult-class/?p=3896
色の質を意識する 色鉛筆編
[色鉛筆画] 2016.06.03
色の質を意識する 色鉛筆編
今回の講座では、前回に引き続き「色の質を表現する」事を学びました。前回は質に注目するため、色を省き鉛筆を用いましたが、今回はいよいよ色鉛筆での描写に入りました。(鉛筆での描写の内容については→こちらをご覧下さい。) 紙の目を潰し、色の質を変えて描写する今回の課題ですが、色鉛筆には鉛筆のように硬さの種類がありません。そのため、紙の目を潰す場合は、「薄い色で筆圧を上げて描く」または「1度描いた箇所を消して、また描く」というやり方になります。戸惑いながらも積極的に紙の目に対してアクションを起こし、それぞれ学びのある作品が出来たと思います。ですが「色の質」という要素が1つ加わる事で、生徒の皆さんに少し混乱があったようにも感じました。陰影も描きながら…重色も考えながら…紙の目の潰し方も考えながら…と、色々な要素を同時に考えながら描くと混乱してしまうかも知れません。 そんな時は、1つの色には1つの要素だけを与えるようにすると良いです。例えば、この色は影を描く色。この色は固有色を塗る色。この色は反射光の部分の紙の目を潰す色。などという具合です。そして、描く要素を変える際には、一緒に使う色も変えましょう。そうする事で自然と色の層ができ、複雑な絵になっていきます。描きながら考えるべき事は多いですが、同時にやろうとせず、一つひとつの要素を積み重ねていくと、混乱せずに絵を進めて行く事ができると思います。 ※2016年度から「初級コース」「上級コース」に分けて講座を行っています。初級コースの内容については、既に別のブログで紹介しているため、ここでは上級コースの内容を中心に紹介しています。(初級コースの内容については→こちらをご覧下さい。)
色の質を意識する 鉛筆編
[色鉛筆画] 2016.05.06
色の質を意識する 鉛筆編
  色鉛筆クラスでは、4月から初級と上級の2つにコースを分けて新年度をスタートしました。初級コースでは、昨年度と同じように、立方体を青とその補色のオレンジで描写しました。(詳しくは昨年のブログをご覧下さい →こちら)上級コースでは、明度、色相、彩度に続く要素として、色の質の表現に挑戦しました。また、質の違いを分かりやすくするために、今回はあえて色を省き鉛筆での制作としました。 鉛筆や色鉛筆では、絵具と違い厚く塗ったり、薄く塗ったりなど描材自体の質を変化させる事ができません。そのため、「支持体=紙」を変化させ質の違いを出していきます。具体的には、描きながら紙の目(紙の表面にある凸凹)を潰す事で、鉛筆の発色のさせ方を変えていきます。なかなか言葉だけでは実感しづらいですが、皆さん描いたり消したりを繰り返しながら、上手く紙の目をコントロールして制作をする事ができたと思います。回りこみや陰影の表現など、硬めの鉛筆を使いとても良く表現できていました。次回は今回の講座を踏まえ、色の質を意識しながら、いよいよ色鉛筆での制作に挑戦したいと思います! また、今回は新年度最初のブログなので、色鉛筆の作家さんを紹介したいと思います。●吉村大星さん猫をテーマに色鉛筆で制作をされています。山口県で活動を行っており、なかなか関東での展示は無いかも知れませんが、実物が見られる機会があれば是非見て頂きたい作家さんです。草花の描写や猫のふんわりとした質感がとても参考になると思います。
花はそうして咲いている
[日本画水彩] 2016.04.22
花はそうして咲いている
          大人クラスでも新年度のレッスンが始まっています。充実した昨年度の学びから、新作への意欲溢れる生徒さんですが、毎年この時期にはお庭の写生を行います。作品づくりの本格始動の前にちょっとストレッチ。春には春を感じて、心を耕しましょう。   野外写生は、モチーフを室内に持ち込んで描くことと違った趣きがあります。花を描こうとすると、陽が眩しい、風で揺れる、虫が這っている、枯れた色がある、時には雨が降ってる・・・。自分が焦点を定めている対象以外の要素が多く、それは描く側の都合にしてみれば少々煩わしい?ことでもありますが、その全ては、その花がそこに咲く為に必要だったこと。また、庭の主・辻先生のお話によると、毎年同じ植物を育てていても、咲き方が同じではないことが伺えます。庭を取り囲む様々な自然現象、そしてそれに手をかけている人の愛情。花はそうして咲いている、ということを感じながら写生をすることで、その線描には見えたこと以上の感受性が刻まれていきます。少し時が経ってからスケッチブックのそのページを開くと、庭での時間が蘇るように感じられるのではないでしょうか。 目指すもののために計画的に行動することは大切ですが、時には無目的に、ただ目の前のことをじっくり味わう。そんな時間があってこそ、次に繋がる活力となります。外は気持ちいいですね!と互いのスケッチブックを見せ合う生徒さん、伸びやかないい笑顔でした。
自由制作:最終回
[色鉛筆画] 2016.03.28
自由制作:最終回
 ◎講師:横山大河/制作:2016 3月1月~3月まで、3回に渡り行ってきた自由制作も今回で最後となりました。皆さんそれぞれの個性が出て、どれも力作が揃いました。時間が足りず、もう少し手を入れたいという箇所もあったかも知れませんが、長い時間絵と向き合っていく中で、手ごたえを感じられる部分・瞬間があったのではないかと思います。 色鉛筆は、描き始めてから完成までにとても時間がかかる画材です。一気に塗る事はできませんし、濃い色を出すには何回も重ねる必要があります。また、修正するのにも限界があり、大きく画面を転換する事も苦手な画材です。絵の具に比べると自由度が低く、非常に根気を要する作業が必要ですが、完成した際には、自分が手をかけた分だけ密度の濃い画面を得ることができます。複雑な色彩や独特な絵肌は色鉛筆でしか表現できないものだと思います。 その人の描写の痕跡全てが積み重なって、最終的な画面が出来てきます。「きれいな絵だからきれいな人」という訳ではありませんが、手がかかる画材だからこそ、その人の人となりや考えまで絵に滲み出てきているように感じる事があります。皆さんの作品を見ていて、どの作品からも絵に対する真摯な姿勢が感じられ、とても嬉しく思いました。 今回の講座で2015年度の色鉛筆クラスは終了となります。本年度受講下さった方、またブログをご覧頂いた方ありがとうございました。 来年度も色鉛筆クラスの開講を予定していますので、是非色々な方に色鉛筆での絵画制作の体験をして頂きたいです。初めての方は、色鉛筆独自の技法を体験して頂き、色鉛筆で描いた事があるという方は、さらに描写の幅を広げる、深める事を学んで頂きたいと考えています。 また、自分自身も色鉛筆画のさらなる研究を重ね、本講座の内容をより充実したものにしていきたいと思います!
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