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小学生 絵画/倣い習う①
[小学生クラス] 2020.03.09
小学生 絵画/倣い習う①
移ろいを告げる季節の雨が梅の花を香りだけ残し、微笑み始めた風と共に寒さを拭ってゆきます。ご無沙汰しておりました。約二カ月半ぶりです。年明けより今まで小学生クラスは何を行っていたかというと墨での表現を体感する「伊藤若冲・群鶏図模写」。予定よりも長丁場、もしかすると今年度一のボリュームとなりご報告が遅れてしまいまして申し訳ありません。今月に入り皆見事な完成を迎えました。一本に気持ちを込める「墨の線」での表現、名画を観察し描く「模写」という学び方。普段とは大きく異なる内容に、楽しみながらも培った集中力を遺憾なく発揮し、全員が今回の制作の意図を感じ取ってくれたこと、大変嬉しく思います。   レッスンはまず、伊藤若冲について知るところから始まりました。伊藤若冲は近年その評価が爆発的に上がった江戸時代後期の画家で、身近な生き物などを中心に類稀なる綿密な描写と多様な色彩、併存する大胆さやユーモアをもって生命の喜びとその美しさを描いたことで知られています。特に自宅の庭で放し飼いにしていた数十羽の鶏を多く描き残し、「若冲の鶏」と言われるほど得意としていました。作品集を眺め、そんな「身近な生き物を愛した人」の精神そのものを身近に感じたところで、話は今回描く代表作である「群鶏図」に。たくさんの美しい羽の鶏がひしめき、各々違う個性を発揮している様子は、さながら教室での子供達のようです。その全てを描くのは流石に骨が折れるので、それぞれ一匹ずつ選び、模写をすることとしました。《続く》  
小学生 絵画/倣い習う②
[小学生クラス] 2020.03.09
小学生 絵画/倣い習う②
《続き》今回の制作は「模写」。言葉だけの意味を考えると現存する絵画を真似して写すということですが、実はただそっくりにコピー機で複写したように行うことではありません。その作品の奥に潜んでいる作者の気持ち、息遣いを読み取り、筆遣いや色彩計画に思いを馳せること。作品自体を写すのみならず、「作者を模倣する」ことで初めてその作品の神髄を知ることができること。たとえ形がそっくりにならずとも、その精神を倣えばそれが模写であり、ゴールはひとつではないということ。そのような学び方があることを伝え、特に今回は若冲の「線」の描き方に着目し、子供達は時間をかけ美しい線の練習を行いました。描く際の若冲の動きがどのようなものであったか、筆の持ち方は、線の長さは、スピードは、姿勢は、呼吸は…。原画を観察し、そこから空想を広げ、何本も何本も繰り返し描き、最上の一本を目指す。まさに今年度の集大成といえる制作。スケッチブックはその試みによってあっという間に埋められていきました。   練習を重ね、自信が芽生えたらいざ本番。一発勝負の緊張から咳払いひとつも憚られるような張り詰めた空間が自ずと生み出され、漲る集中は教室を満たし、その中で徐々に姿を現してゆく美しい鶏達。水を含んだスポンジを握りしめた時のように、吸収したもの全てが余すところなくそこに残されました。墨の美しさ、そして自分の解釈で描かれた線の美しさ。皆しっかりと「模写」をすることができていました。その後、線を大切にしながら絵の具によって彩色。鶏冠にはアクリルガッシュを用いながら発色にも気を配り、丁寧に丁寧に色を重ね、最後は台紙に貼り仕立てついに完成。長い制作、本当にお疲れ様でした。クラスで並べた完成作品は、若冲の線や色を倣いながらもそこから得た「習い」がそれぞれの作者の良さとして表れ、愛らしいもの、猛々しいもの、おとなしそうなもの、派手なものなど千差万別、まさに子供達の様でとても嬉しくなりました。   「模写をすること」の本当の意味を若冲の鶏を通して学び、あらゆる作品に対してまた一歩踏み込んで鑑賞できるようになった皆さん。一度描いてみることでしか分からない作者の思いが全ての作品に込められていることを知り、自らの制作にもきっと活かしてくれることでしょう。完成した際、皆に聞いた「伊藤若冲はどんな人だった?」に対して一年生が答えてくれた「身近な生き物を愛した人」の言葉には、模写をする前よりも親密な気持ちが込められていたように感じました。描いた鶏をずっと愛して下さいね。
小学生 工作/喜びの結晶
[小学生クラス] 2019.12.23
小学生 工作/喜びの結晶
箒で丁寧に掃いたかような雲が空をいっぱいに覆い、それはまるで地球を大掃除をしているかのようで、厳しい寒さの中にも清々しさを感じ取れる冬。小学生クラス冬の工作『雪の結晶』も、年の瀬と共に完成しました。一年間の感謝を込めて自宅に届ける美しいかたち作りをテーマに、『針金』を材料として制作しました。ほとんどの子が針金による造形が初めての中、針金と仲良くなるためにたくさん触れ合うことからスタートし、『ぐるぐる』や『ねじねじ』など様々な面白く美しいかたちをつくることが可能であることを学び、それらを自らの発想と工夫で発展させることに喜び大興奮、集中が途切れることはありませんでした。回を重ねるごとに予想を上回る上達ぶりを見せる針金づかいに、後半では講師が若干、あくまで若干の嫉妬を覚えるほど。指先の動きとラジオペンチのみでぐんぐんと形成されたその輝きは、溶けることを知らない冬のシンボルとして部屋の壁を暖かくしてくれることでしょう。   今回の作品、この雪の結晶は春から培ってきたあなた達の『ものをつくることへの喜び』の結晶です。頭を働かせ新しいものを思いつくことへの喜び、難しかった技術を会得した時の喜び、色への喜び、かたちへの喜び、完成した作品を大切な人に見せる喜び。どんな小さな喜びだとしても、それらが確実に、まさにしんしんと降り積もる雪のように静かに重なって今の力を成しているのです。『喜びのかたち』。それがあなた達の自信となってくれるのであれば先生もとても嬉しいです。ずっと大切にして下さいね。   保護者の皆様、この度はお忙しい中、冬のアンケートにご協力頂き誠にありがとうございました。頂戴した大変温かく貴重なお言葉やご意見、毎回ありがたく大切に読ませて頂いており、子供達の成長の一助となることができればと思い続けてきた行いに対して、さらにより良いものをという決心を新たにさせて頂いております。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
小学生 観察画/二つの観察今の自分
[小学生クラス] 2019.11.11
小学生 観察画/二つの観察今の自分
乾いたアスファルトに映される影の色に冬の到来を感じます。小学生クラス10月の観察画『自画像』。苦心の末、続々と完成を迎えました。鏡を前に鉛筆で形を追い、絵の具での実験を繰り返しながら肌や髪の色を再現し、本物に触れるかのような筆遣いでそれを置き、『今の自分』を丁寧に見つめました。対象が人物ということで難しい点も多々ありましたが、春から培ってきた集中力と技術でそれぞれが新たな表現を得ることができました。あともう少しで完成の子も、焦らずに完成を目指しましょう。   今回の観察画では、顔の造形はもちろんですが、目に見えない部分もしっかりと観察することが重要であると子供達に伝えてきました。今の自分の気持ちや感情、『内面』を表そうとすること。それこそが似顔絵ではない、世界でただ一人自分にしか描けない絵であると。過去を振り返ると多くの画家が自画像を残しています。その文脈に思いを馳せ、今、そして未来を生きていく子供達に新たな視点を見つけて欲しい。その為にポーズや表情、目線の工夫や、顔の中にある色の数を数え、肌の色と同時に『顔の色』を探すことなど、二方向からの観察を求めました。正直とても難しかったことだと思います。年齢に関係なく、自身を見つめることはいつだって難しく答えが決まって在るものではないのですから。しかし、1年生から5年生までその全員が、毎回一歩ずつ紙の上に『自分』を着実に積み重ねていきました。その底力には本当に驚かされます。そうして完成した全ての作品には、線の微妙な強弱、繊細な色の重なり、ちょっとした筆致の違いによって本物の人間と同様かそれ以上に作者の『存在』が感じ取れ、思わず笑みがこぼれてしまいました。   今の自分を見つめ大切に思うこと。そのことを知り、何かあればまた鏡を前に筆を走らせてみて下さい。            
小学生 絵画/おとをたのしませる
[小学生クラス] 2019.07.01
小学生 絵画/おとをたのしませる
霖雨降りそぼる折、小学生クラス春の絵画制作最後となるのは、音を色や形で表す『聴想画』。毎年一度、この6月に行っているお馴染みの制作です。例年は教室で音楽を聴き制作しているのですが、今年は趣向を変え、自ら音を集めるべく靴を履き片手にメモを携え、街へと繰り出しました。『まちのおと』が今回のテーマです。日常心に留めることのない音を拾い上げ、応用を利かせた絵の具での技法用い表現しました。   商店街、公園、駅、住宅街…。様々な音は常に無秩序、且つ飾らずに混在していますが、普段はそれをほとんど意識しません。何故なら生活する上で自らが自然と『音の中』の一部となっているからです。そこから一歩、『外』へと踏み出すこと。聴き飽きたかの如き生活音を別の角度から捉えてみること。そうして初めて聴こえる、心に伝わってくる音があることを知ります。それはずっとそこにあったのに気付かず、それでもやっと見つけた宝物のようにキラキラと輝き放っています。やや強引にも広義に解すれば、一辺倒な価値観では測れないものがあること、その視点が豊かな生活を約束してくれることを知ります。しかし別段、このような話をせずとも子供達は柔軟に受け入れ、街での音集めを楽しんでいました。   予定よりも多く重なった音のメモを元に、具体的なものを描くのではなく単純な色や線や形、そう、抽象的に表す説明を行った際も屈託なき理解、その早さに内で目を見張りました。理解しやすい価値観である『写真のような絵』からほぼ反対の位置に属する『一見何が描いてあるか分からない絵』。正直小学生に圧倒的に人気のないこのジャンルに、ステキさとカッコよさを求め、筆を動かすことができること。それ自体がなんてステキでなんてカッコよいのでしょう。だって完成した絵、抽象表現を前に、自信を携えた口元で『まちのおとを描いたんだ』と言ってのけ、詳細や苦心を語ることができるなんて。憧れすら感じます。『一見分からない』ことに価値を置いていないとできない芸当です。今回の作品を持ち帰った際には、特に大いに語って頂きたいものです。   『音を楽しむ』と書いて音楽、という言い回しはよく耳にします。しかし今回、子供達は新たなスタンス、価値観との距離、認識を以って『音を楽しませる』ことを共に行っていたように、結果的にですが確かに感じました。 『おとを聴く』に多様な意味が込められていること、しかしそんなことは特に意に介さずただ楽しんで、ただ楽しませて描いていたこと。それは本当にすごいことなのですよ。是非皆に教えてあげて下さい。
小学生絵画/制作の種をまく季節
[小学生クラス] 2019.06.10
小学生絵画/制作の種をまく季節
今年度は全クラス満席となり賑やかなスタートとなりました。 4月の空想画では、自分で考えたユニークな球根からどんな花が咲くかを想像しました。 5月の観察画では筍とそら豆をじっくり観察して発見したことを描き、自然の微妙な色をクレヨンの混色で表すことを頑張りました。 6月は「街の音」をテーマに抽象的な絵画表現に挑戦しています。先週は「街にはどのような音に溢れているかな?」と音の取材をしにアトリエを出て街に繰り出しました。 春の絵画制作では空想力、発想力、観察力を養い、鉛筆、絵の具、クレヨンなどで描く感触を楽しみながら使い方を学ぶことを行ってきました。自分の中に製作の基本の種をまくような時でした。 最近の低学年クラスでは、年上の子が一年生に教えてあげたりととても良い雰囲気です。 中学年クラスも空想画にお友達が登場したり互いを仲間として認め合い気持ちのよいクラスが出来ているのを感じます。 春にまいた種がこれから夏に向けて一人一人どのように伸びていくのが楽しみです!   保護者の皆様へ      常日頃よりアトリエ5へのご理解とご協力を誠に感謝申し上げます。 お便りとブログでのお知らせとなることをお許しください。 私事で大変恐縮ですが、一身上の都合により6月末を持ってアトリエ5を退職することとなりました。 小学生クラスのアシスタントを務めて5年半、沢山の子供達に出会うことができました。 初めての習い事の一年生や自分の意志で来てくれた高学年の子など入会の理由はそれぞれで、 こうして学校も学年も異なる一人一人が集まり、肘がぶつかり合う距離で絵を描いていることは 奇蹟のような大切な時間なのだと思いながら見守ってきました。 全ては保護者の皆様が子供達の好きな気持ちを尊重して応援して下さるおかげです。 こんなにも豊かな時間が在ることに感謝してもしきれません。誠に有り難うございました。 アシスタントの後任として奥原幸絵が務めさせていただきます。子供たちの良き絵の先輩として見守ってくれるアシスタントです。 講師本田と奥原がつくる小学生クラスを今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。 小学生クラス アシスタント 春日千尋  
小学生 絵画/タケノコの子
[小学生クラス] 2019.06.04
小学生 絵画/タケノコの子
新元号となり、怒涛の10連休を終えた5月初回のレッスン。教室内を埋めるのは今が旬のタケノコ。今回の観察画『タケノコとそら豆』のモチーフです。食卓でお馴染みのタケノコも、調理前のものを目にするのは初めてという子が多い中、五感で感じるところから制作スタート。『重い!』『毛が生えてる!』『変なにおい!』と、写真で見るだけでは感じられないことを存分に吸収します。アトリエ5の『5』は五感の『5』。目で見ることだけに頼らず、触り、においを嗅ぎ、時には舌で感じます。そしてモチーフの『声』を聴き、それらを描いていきます。 大きいタケノコでしたので感じたように大きく描くこと、クレパスのまぜ色によって『タケノコ色』を生み出すことなどを気に留め、グイグイと手を動かしていきます。次の週、そこに同様に旬のものであるそら豆を加えます。『タケノコとそら豆は誕生日が近い感じだよ。絵の中のタケノコのところへそら豆が遊びに来たよ。』などと言いつつ、踊るようにそら豆独自の美しい曲線をたくさん描きます。色はもちろん『そら豆色』。前半クラスでは弾けるように並ぶそら豆と共に笑顔で制作、後半クラスではさらに考えを深めた構成をとる子も多くいました。中の豆を意識したデコボコも見事に表現され、そこにキャリアを感じます。最後にタケノコやそら豆に似合う模様や色を考え背景に描き完成。その際『今日初めて絵の具を使うからずっと楽しみだったんだ!』と真っ新の絵の具セットを丁寧に取り出す小1の子の笑顔と、一転実際に筆を動かす時の集中した顔がとても印象的でした。皆の今の姿がそのまま表れたかのような、実に多様な表現、どれもが異なるタケノコとなりました。それはきっと、しっかり『声』を聴くことができたからなのでしょうね。 風薫る伸び盛りの季節、皆もぐんぐん成長する、まさにタケノコの様でした。
小学生 絵画/始まりは笑顔で
[小学生クラス] 2019.06.03
小学生 絵画/始まりは笑顔で
新年度が始まって早2ヶ月。それぞれの曜日、時間帯で新しいメンバーとなった小学生クラスも、季節の移り変わりと共に慣れ親しんできました。4月、初めての絵画制作は空想画。頭の中で思い描いたあんなことやこんなことを、思い切り描いていきます。前半クラスのテーマは不思議な『虹色の球根』。自分で考えたカラフルな球根と、そこから咲く見たこともない花や根、地面の中、地面の上での様子を描きました。盛り上がる生徒同士の会話からアイデアがさらに広がり、宝石や星、動物型の球根が生まれ、それらが育つための養分を含んだ土を『おいしそうな色にしてみよう』と、オムライスやアイス、ホンマグロなどの色を作り、地上にはお姫様がいたり蝶が舞ったり隕石が落ちてきたり…。花のみならず色々なものが咲き誇る作品となりました。初めての絵画制作の子も多い中、道具の並べ方や絵の具の扱いもしっかりと覚え、存分に楽しんで描くことができました。   一方、後半クラスでは、『夢の広場』と題し、こんな公園や遊具があったらいいな、毎日でも行きたいな、と思える空間を描きました。皆に尋ねてみると、様々な理由で最近ではあまり公園などで遊ぶことがないとのこと。少し寂しい気もしますが、しかしそんな気持ちこそ絵にぶつけて欲しい、普段できないようなどんなわがままなことでも描いてほしい、と思います。まずは調査のためにスケッチブックをもって実際の公園へ。そこで初めて思いつくことがたくさんありました。そこからはひたすら画用紙に描きこんでいきます。様々なエリアがあったり、大人立ち入り禁止だったり、宇宙に飛び出したり…。『これどうやって遊ぶ場所なの?』と聞くと、予想もしてなかった答えをひたすら説明してくれ、その豊かで愉快なアイデアに私も何度も笑いました。こだわりが強く完成までもう少しの子もいますが、皆のいつもと違う一面が多く見られた制作となりました。   皆で笑いながら描いた4月の空想画。始まりにピッタリのものとなりました。
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