体験を予約する

┃ blog ┃

夏の表情
[小学生クラス] 2017.08.14
夏の表情
夏休みも後半に差し掛かり、そろそろひぐらしの鳴き声が夕刻を湿らす頃。約1カ月半に渡る夏の工作も無事完成を迎え始めました。それぞれの考えた『顔』、並べて飾ってみると中々の圧巻で、作品に込めた願いやこだわりが実に様々で実ににぎやか。見ていてとても楽しい気持ちになれるものでした。 今回は、ただ『面白い顔』をつくるのではなく、その顔の性格や年齢、特徴や口癖など、細かい設定を基に進めました。絵画では見られなかった意外性のあるものも飛び出し、アイデアスケッチの時点でかなりの盛り上がり。その勢いのまま制作に突入。ハンガーとネット、粘土による基盤づくり、パーツ付け、彩色…。工程は多いものの、毎回しっかりと集中し、着実に出来上がっていく顔は、徐々に誰かに似てきたような…。最後にニスを塗り、完成させた作品は、作者と同様、どれも溌剌とした輝きを持ち、空想世界の顔で人間ではないはずなのに、全ての作品が作者本人を強く思わせ、「ああ、こんな顔するよね」と妙に納得してしまうものばかり。最早顔というより虫に近い(!)ものまで、そう感じさせてくれるから不思議です。それはきっと、作者の考えたどこにもない新しい顔の上に、自分でも気づかない、しかし確かにここにある、自然と滲みだした自身の『表情』が、見事に合わさったものだから。素直にそして真摯に作品に向き合ったからこそ表すことのできた、作者の『今』の表情。そして、知ってか知らずか新たに考えた設定は、作者の未来のどこかにある願いを込めた『これから』の顔なのかもしれません。 夏の開放感の中で生まれた、『今』と『これから』を映した作品。是非長くお家に飾って下さい。
夏の美術鑑賞会
[小学生高学年] 2017.08.07
夏の美術鑑賞会
先週、子供上級、子供油絵、中高生クラス合同で、夏の美術鑑賞会が開催されました。今年は神奈川県立近代美術館葉山館の『没後90年 萬鐵五郎展』を鑑賞、その後秋谷海岸で砂のオブジェ制作を行い、大変充実した時を皆で過ごしました。 暑さもしのぎやすい薄曇り、蝉しぐれを全身に感じ到着した葉山館。展示内容は作品数約300点というボリュームで、萬鐵五郎という一人の絵描きが、どのような変遷を辿ったのかが詳しく紹介されていました。デッサン、水彩画、油絵、水墨画と、技法も様々。また、描いた年代、環境、心情の違いでさらに広がる表現の豊かさが、鑑賞する者を圧倒していました。これだけの情報量だと、作品全てと正面から向き合い、鑑賞することはなかなか骨が折れるな…と、講師の心配もよそに、皆の鑑賞は真剣そのもの。ひとつひとつの作品にグッと近づき、絵の具の迫力を肌で吸収しようとする子。自分の作品と比べ表現方法をじっくり考える子。今日仲良くなった3人でお互いコメントを述べながら、楽し気にゆっくり回っていく女の子達。作者の考え方や絵描きとしてのバランスのとり方など、精神性に思いを馳せる中高生。全員が瞳を輝かせ、誰に教わった訳ではない、自分の鑑賞スタイルを持ち、驚くほど立派な感想を抱いていました。それは、頭ごなしの否定や、無防備な肯定などの色眼鏡が全くない、素直な『絵が好き』という気持ちによる輝き。自分の制作を、眼前の作品に繋げていける豊かな心。春から感じていた皆の『良い作品が描きたい』という熱い思いが、鑑賞という形でも伺うことができました。予定時刻を過ぎるまでじっくりと鑑賞した作品、きっと秋からの制作に活かされていくことでしょう。 その後、予定していた前田川散策は、前日の大雨で危険ということで、昼食の後、秋谷海岸に移動、砂のオブジェ制作に取り掛かりました。2グループに分かれ、海岸に落ちているものを利用し、それぞれ考えたテーマを基に制作。大自然に翻弄されながら、石や枯れ枝、流れ着いていた板などに敏感に反応し、協力して形にしていく作業は、クラス、年齢を超え、とても楽しいものでした。砂浜に描いた線が波にさらわれてもめげません。保護者の方も、ただ見守るだけでなく積極的に参加してもらい、枯れ枝による生け花、見事なネーミングなど、鋭いセンスで応じて頂きました。全員が作品制作を通してコミュニケーションを図っていくことは、ここでしかできない、アトリエ5のもうひとつのかたちでもあります。ただ見ている人は一人もいなく、何らかのアクションが作品上で影響し合うことの喜びが、完成作品に満ち満ちていました。 美術を通して触れ合った仲間。きっとこれから君達の大きな支えとなってくれることでしょう。 最後に皆で行ったシャボン玉が、砂浜の完成作品を優しく取り囲んだ後、天高く、そして水平線の彼方へ消えていく姿が、楽しく美しい夏の一日を穏やかに締めてくれました。 *活動の様子をfacebookのアルバムにしました。→☆
壁を越えて
[中高生クラス] 2017.07.29
壁を越えて
中高生:油彩 制作:2017年4月〜7月 ◎感想/講師:吉田一民 中高生の皆さん、春から夏へかけての油彩制作お疲れ様でした。学校の行事や部活動、勉強、進学と忙しい中、よく集中して描いていました。 皆は今回の作品を描いてみてどうだったでしょうか。中学生は「サザエとサンダル」高校生は「パイナップル・紐・ボウルとミラー」でした。二つの課題に共通する部分は、其々のモチーフの要素を生かすような配置を作ることと、個々のモチーフが持つ特徴を筆で表現することでした。 今回の合評会で完成した作品を見ると構図や色筆のタッチなど様々な工夫と自分ならではの表現が出来ていて、一つ上の「大人の作品」になってきたという印象を持ちました。本人たちは制作の中で悩み乗り越えなければならない 所も多かったと思うのですが、素晴らしい作品に仕上がったということは自分自身が非常に勤勉に真摯な姿勢で向き合った結果だと感じます。本当にお疲れ様でした。 「自分と向き合うこと」は自分の未来を見つめることだと思います。これからも失敗を恐れず色んな事に挑戦してみて下さい。失敗も成功も自分の未来へと繋がります。必ずしも成功する必要性はありません。失敗により壁を越えることもあります。全てが必要な要素の一つなのです。これからも自分のペースで一つ一つ壁を超えて行きましょう。これからの未来に出来るであろう作品を楽しみにしています。
過程として
[中高生クラス] 2017.07.28
過程として
子供油絵クラスに続き、中高生クラスも前期の合評会を行いました。水、木曜クラスでは、サイズ、技法、キャリアも様々なメンバーの中、お互いの発表に刺激を受け合いながら、とても充実したものとなりました。 素直な表現が輝く中1の作品から始まり、新しい表現を模索する高校生の油絵、最後に描写力を深めた高校生の鉛筆デッサンと、幅広い年齢、技法でしたが、全員がこの一作に込めた思いや苦悩をしっかりとした姿勢で発表できたことが講師としてとても嬉しいです。 人生で最も多感な時期に、日々変化する自己を見つめ、新たな価値を手探りで獲得せんとする姿。そしてそれをなんとか形にする苦しみ。『自分のやりたいこと』と現実のギャップ。その全てが詰まった作品でした。自分の中のハードルを下げて、今まで成功したことを同じように行い、無理やりに作品の完成度を上げることもできた中、誰一人としてその選択を行わず、失敗するかもしれない未知の表現へと自然と踏み出せていたことが画面に焼き付き、作者の現状を体現しているかのようでした。特に高校生は、発表の中でも『これで満足しているわけではない』といった表情がうかがえ、今、まさに今、挑戦している真っ最中だ!と、言葉にせずとも気持ちが伝わるものでした。 『過程の一枚』。これから長く続いていく表現の道中、今回の作品を是非そのように捉え、飽くことなく今以上にひたむきに多くを吸収し、自分の表現へ繋げて欲しいです。子どもから大人へ成長するまさに人生の過程であるこの時期に、悩みや失敗を恐れず、今だからこそ出来る思い切った挑戦と、打算のない高い理想を、どこまでも追求して欲しいです。いつか、描き続けた先で足が止まり、顧みた時、きっと今回の作品がひとつの道しるべとして在ることを信じています。 迷うことを恥じない制作。秋からも頑張りましょう。
すくすく、命のハーモニー
[小学生クラス] 2017.07.25
すくすく、命のハーモニー
「すくすく、命のハーモニー」作者:李昭憙(り そひ)8才 第19回カナガワビエンナーレ国際児童画展 時:2017年7月7日(金)〜8月20日(日)10:00〜17:00 /休:月曜日 所:あーすぷらざ(本郷台) 「絵は世界の共通語」を合言葉に、互いの文化や生活を理解し合い、国際交流を深める事を目的に、2年に1回開催されています。横浜開港以来の豊かな国際性を基に、神奈川では今や172の国と地域からなる18万5千人の外国籍の皆様が暮らしています。そして、この土地ならではの開かれた文化意識を守り育てていこうとする開催主旨に賛同し、アトリエ5は1995年から応募してきました。 今回は世界各国と神奈川県内のこどもたちから24,572点の応募があり、その中から519点を展示しています。先程、本田と春日と一緒に鑑賞してきましたが、どれも丁寧に描き込まれ、すっかり時間を忘れて見入ってしまいました。元住吉からは横浜で乗り換えもあり少し遠いのですが、2年に一度の貴重な機会なので是非お出かけ下さい。宜しくお願い致します。 過去の大賞受賞作品:https://www.earthplaza.jp/biennial/japanese/grand-prize/index.php   さて、今回受賞した李さんの筍とそら豆の絵はどの様に生まれたのでしょうか? 担当講師の山田が、モチーフへの思いなど熱く語っています。 →https://atelier-5.com/blog/kodomo/syougakusei/?p=4467 = アトリエ5の受賞者の記録 = 【第8回・1995年】 大賞 松島由利子 小4・金賞 渡辺 龍彦 小1 銀賞 本田 りさ 年長・銀賞 後原 英也 小1 銀賞 千明 英史 小2・銀賞 永安 研二 小3 【第9回・1997年】 銀賞 石川真起子 小2・銀賞 野口 海  小2 銀賞 渡辺 龍彦 小3 【第10回・1999年】 銀賞 雨宮 理沙 年中・銀賞  田尻亜弥子 小6 *第11回・2001年:主催者移行に伴い応募辞退 【第12回・2003年】 入賞 猪股奈々美 小2・入賞 後藤 搖景 小3 【第13回・2005年】 入賞 柴田 翠  小6・入賞 矢部優美子 小4 入賞 三浦 皓  小1 【第14回・2007年】 入賞 妻神佳乃子 小3 【第15回・2009年】 入賞 宇野 夏都 小3・入賞 谷口つぼみ 小2 【第16回・2011年】 入賞 内海 響 年長(独立行政法人国際協力機構理事長賞) *第17回と第18回:応募辞退 【第19回・2017年】 入賞 李 昭憙  小3 *第20回の応募:2018年10月(参加自由)  
たいようのはな
[幼児クラス] 2017.07.24
たいようのはな
暑い夏の到来、子どもたちは元気です。陽の光をいっぱいに浴び、活動量も体力も増して、溌剌とした笑顔でアトリエにやってきます。7月の幼児クラスは紙を素材に、真夏の太陽をイメージしたお花を制作しました。 まずは工作の材料を作ることから。絵本作家エリック・カールの手法を知り、「おひさま色」の自分の色紙を作ります。クレパスのフロッタージュを重ねたり、染めるように絵の具を塗ったりと「絵」を描くこととはまた違った模様づくりを存分に楽しみました。子どもたちにも馴染みのある絵本「はらぺこあおむし」などもこんな色紙から作られているのです。 できた色紙をカットしてたくさんの花びらにする工程では、それぞれの眩しいおひさま色がアトリエ中に氾濫し、そこに子どもたちの制作熱も相俟って熱気ムンムン、2°Cくらい室温が上がるようでした。 紙皿や紙カップをボディーにしてお花の形に組み立てていきますが、花びらの重ね方や切り込みのアレンジが加わり、表情の違いが表れてきます。少しイビツなハサミ使いやポッテリとした糊の厚みが何とも、大人には出せない愛らしいマチエール。花芯の部分には銀色のビーズが飾られアクセントに。 最初の色紙が、身近な素材と合わさり全く違う素敵な立体作品になったことに嬉しそうな表情でした。輝くおひさま色がモリモリに凝縮されたお花たちは、幼児さんパワーの塊のようで、見ているとこの夏も元気に乗り切れそうです。     *** 幼 児 ・ 夏 の 体 験 レ ッ ス ン *** 夏休み企画で、各回造形遊びを予定しています。お試しで体験レッスンはいかがでしょうか?制作内容や指導方針、クラスの雰囲気を実際に感じてみて下さい。体験後、即日入会も可能です。(先着順) 【対 象】年中・年長のお子様(4~5歳児)  *年少さんはご相談下さい 【時 間】木曜日 15:00~16:00(60分)  *体験当日はなるべく始業10分前にお越し下さい 【日程・内容】△残席僅か ◯余裕あり  8/ 3 テラコッタ(粘土造形)△  8/17 えのぐ造形あそび  △  8/24 紙の造形あそび ◯  9/ 7 クロッキー ◯    *金曜日ご希望の方はご相談下さい    *いずれかの希望日をお伝え下さい       【受講料】1500円(ご紹介の方は無料!) 【持ち物】画材は全て教室でご用意します。 【服 装】汚れても良い服装でお越し下さい。 =お問合せ:アトリエ5 = 044 – 411 – 5154 (休:日曜日)10:30〜15:00 入力フォームはこちら↓ ご相談もお気軽にご記入下さい。 https://atelier-5.com/contact
友達?神様?面白い顔たくさん!
[小学生クラス] 2017.07.17
友達?神様?面白い顔たくさん!
  今年の夏の工作は、自分だけの守り神のような顔のお面を作っています。 まずはアイデアスケッチしました。顔のスケッチの横に名前、年齢、口癖や得意技など自由にメモしてイメージを固めていきます。工作がものを作る“作業”ではなく“創造”になる為にこの時間がとても大事。 次に、粘土、ハンガー、網を使い顔の土台作りです。せっかく作ってもすぐ壊れてしまうことは絶対に避けたいので、一つ一つの行程を丁寧に行います。始めは皆同じでも徐々に目指すものに向かって表現が変わっていきます。時に、講師本田が相談に乗りそれぞれのやり方を考えだしていきました。 次週は、色塗りと様々な素材を使って装飾します。真っ白いお面が一気に生命を帯びそうで、アトリエに飾ったらどうなることやら。お家にユニークな守り神が訪れるまで後少しです。どうぞお楽しみに! 夏のアンケートのご回答ありがとうございました。ご意見を反映させてより良いアトリエの時間にしていきたいと思います。引き続き受け付けております。 おかげさまで、新宿伊勢丹での展示が無事終了いたしました。 脚を運んでいただいた皆様、誠にありがとうございました。お会いできなかった方もいて残念でしたが、後から子ども達に教えてもらいとても嬉しかったです。 伊勢丹での展示は「作る、描く」には絵画、工芸、デザインなど色々な職業があることを伝えられる機会でした。子どもの今の関心事や夢、お母さん、お父さんの気持ちをより深く聞くことができ、貴重な経験となりました。 《夏のオススメ展覧会》 ●ジャコメッティ展 六本木 彫刻を見てみよう。アトリエ5でも8月に、テラコッタで人の造形を作ります。 ●プラディスラバ世界絵本原画展 平塚 世界の絵本の原画がズラリ。 ●深海展 上野国立科学博物館 深海はどんな生き物がいるのだろう。 ●神奈川ビエンナーレ国際児童画展 応募した子もそうでない子も世界中の子どもの絵を見てみよう。 ●ヴァージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』 絵本の為の原画やスケッチに触れてみよう。 ●猪熊弦一郎展『いのくまさん』浦和 この展覧会は画家猪熊弦一郎とその作品を子どもたちに、紹介するために詩人・谷川俊太郎によって作られた絵本『いのくまさん』から生まれました。まるで絵本の中に入ったような会場の中で、創造の喜び、楽しさを感じてみませんか。今回の工作のお面のような顔も沢山描いた画家さんです。 こどもの ころから えが すきだった いのくまさん おもしろい えを いっぱい かいた (谷川俊太郎) そして自分のお知らせですみません。浦和伊勢丹で、木工、ガラス工芸、アクセサリーの作家さんと共に、版画イラストの展示販売をします。猪熊弦一朗展やお近くにお越しの際は、宜しければお立ち寄り頂けると幸いです。新宿店に出したもの+新作少々の予定です。  「涼を感じる夏のクラフトフェア」[会期]8/9(水)~15(火) [場所]浦和伊勢丹6階=ザ•ステージ/リビング          
色を深めた3ヶ月~子供油絵クラス合評会~
[小学生高学年] 2017.07.15
色を深めた3ヶ月~子供油絵クラス合評会~
昨日、子供油絵クラス・春の合評会が行われました。お暑い中お集まりいただいた保護者の皆様、誠にありがとうございました。 花香る春から新緑を経て、季節は夏。真っ白だったキャンバスは、3ヶ月経った今、見事な色彩と構成で彩られました。初めての油絵、これが一旦区切りとなる油絵。それぞれの思いを1人ずつ発表し、お互いを労う姿は、作品と共に成長できたことを感じさせてくれるものでした。   自分の培ってきた色づくりのノウハウを一旦壊し、さらに深めた子。 常に作品と対話し、難しいビンを最後には透明にできた子。 両手に筆を持ち、食べるように油絵を扱い画面にのめり込んだ子。 初めて光とかげを色で表現でき、さらに自信がついた子。 最後まで質感にこだわりを持ち、画面に強い意志を吹き込んだ子。 つらくても理想の表現を追い続け、作品としての質をどこまでも高めた子。 今までの自分から、大いなる一歩を踏み出し、6年生としての描き方を理解した子。   当たり前のように各々が異なる制作スタイルを貫き完成した作品には、ひとつとして同じパイナップルは見当たりませんでした。全員が自分を通して見た、感じた、考えたパイナップルを表現できたこと。それが、これから作品をつくる際に、どれだけ自信となり、どれだけ助けとなってくれることでしょう。 小学生クラスや鉛筆デッサンから学んだことが軸となり、深まる子供達の表現は、まさにこの季節、たくさんの陽を浴び、色を濃く美しくしていく緑のようでした。季節の変遷と子供の成長。実に見事な3ヶ月でした。
テレピンを使って描写を深める
[色鉛筆画] 2017.07.14
テレピンを使って描写を深める
おとなクラスの色鉛筆画では、4~6月の3ヶ月をかけてパプリカの制作を行いました。 パプリカだけで3ヶ月も!?と思うかも知れませんが、今回は「テレピン」という油絵用の溶剤を使用する方法で描写を深める事に挑戦しましたので、期間を長めに設定しました。 今回のブログではこの描き方についてご紹介したいと思います。   まず、「テレピン」という画材の説明です。 テレピンは、松脂を蒸留してできる液体で、油絵具に混ぜると絵具をサラサラにできます。塗った後は完全に蒸発しますので、画面に残る事はありません。   このテレピンの性質を利用して『油性色鉛筆を用い、ある程度描き進める⇒テレピンをティッシュなどに付けて画面を軽くたたく(色鉛筆を溶かす)⇒色鉛筆で描き進める⇒テレピンでたたく』と何度か繰り返しながら制作を進めて行きます。 そうする事で、ただ描き進めていくだけでは得られない効果を出す事ができます。 効果は大きく3つあります。   ① 描き込みがし易くなる  色鉛筆にはロウが含まれているため、何度も重ねていくとその成分で紙がツルツルになってしまい、色鉛筆が滑って色が乗りづらくなってきます。 テレピンで溶かす事でそれを緩和し、さらなる描き込みを可能にします。   ②深い色が表現できる  色鉛筆の粉を溶かす事で、ただ塗るだけでは出ない複雑な色味を表現できます。   ③偶然性を生み出せる  色鉛筆は自分が描いた痕跡が積み重なって絵が出来ていく画材です。 それは色鉛筆の良い所でもあるのですが、一方で絵具のように、にじむ、垂れる、筆跡が残るなど、自分が意図しない所で偶然できる表情が生まれにくい画材でもあります。 テレピンを使う事で、その偶然性を引き起こし、それに反応して描き進めていく事で、絵に強さを出していきます。   今回は、皆さん初めてだったので戸惑いがあったと思いますが、テレピンを使った効果にうまく反応し、今までより一歩踏み込んだ作品が仕上がりました。 7月からは、テレピンでの描き方でサザエを描く事に挑戦しています。 サザエのゴツゴツした質感や複雑な色がどのように表現されるのか、完成が楽しみです!
体験を予約する