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光と影のクロッキー
[小学生クラス] 2016.08.17
光と影のクロッキー
 一ヶ月以上かけた工作もぞくぞくと完成を迎え、久しぶりの絵画制作が始まりました。今回は「 夏の光と影」がテーマです。まずは、夏のモチーフを取材しよう!ということで、辻先生のお宅におじゃましました。 沢山の夏野菜や光の反射が美しいガラスの小物などを用意して出迎えてくれました。チクタク時計の音 江戸切り子のコップ 小さな銅の鈴 お家にある一つ一つのものにエピソードがあり、子ども達は、辻先生からそんな話しを聞くのも楽しそう。アトリエでの満遍なく照らされるの蛍光灯の光と比べると、窓から差し込む自然光は、物の影をはっきりと作り出していました。影を描く楽しさを感じている子もいて、絵を描く場所(光と影)は、絵に凄く影響することを感じます。辻先生のお家は、座った時にちょうど良くお庭を眺めるために仕切られた木の窓枠など素敵に暮らす工夫があちこちにあります。  その秘密を少しお話しすると 辻先生の旦那さんである建築家の渡辺貞明さんが脈々と受け継がれてきた日本人らしい情緒を守って行きたいという思いで、昔の日本の建築の良さをそのまま残すようにしてフルリノベーションされたお家なのです。このお家の物語が、「家がおしえてくれること」小川奈緒(著)という本の中の「渡辺さんの二つの家」という項に載っていますので、どうぞご覧ください。さて、子ども達は、(私も)そんなこととは、知らずに「なんかトトロのおうちみたいだね〜」なんて言いながら、まるでおばあちゃんおじいちゃんのお家に行ったような気持ちで、光と影、木の風合いそれらが作る懐かしい空気を感じながらの楽しいクロッキーでした。次回は、夏の色を下地に取材した物を描いていきます。最後に私の、大学時代の友達が絵本を出版しましたのでお知らせさせてください。ずっと絵本を描くと言ういう目標に向かって一歩づつ歩いていた子です。お話の舞台がまるでブレーメン通りのようでとても楽しい絵本ですのでぜひ読んでみてください!(実は彼女アトリエ5の展覧会にも来てくれたのですが、帰りにブレーメンどおりをとても気に入っていた理由が分かりました。)「ぼくんちのシロ」すずきみほ(著)
目に映らない美しさ
[小学生クラス] 2016.08.15
目に映らない美しさ
夏休みに入り、いつもとは少し違う表情を見せる子供達。7月はお待ちかね夏の工作。各クラスで設けたテーマを基に、それぞれアイデアを深め制作していきました。素材の感触を楽しみ、それに反応しながら手を動かしてゆくのはとても刺激的。日を追うごとに日焼けしていく子供達の繊細かつ大胆な指先は、素材の白色と見事なコントラストをつくり出し、それはまるで夏の日差しのよう。完成作品は太陽のような笑顔と共にとても輝いていました。今回は抽象的な立体作品に挑戦したのですが、一般的に抽象は、具象や写実よりも、表現や価値判断が難解と考えられています。それは「美しい」の基準が、目に見える外の世界ではなく、目には映らない制作者の内側に多くあるものだからです。自分の中にフワフワ存在する「良い」と感じる何かを見つめ、丁寧に練り、外の世界へ送り出す。具象表現よりも自由な分、不安や責任も同じく大きいものです。勢いに任せなんとかならないこともないですが、自分の作品に責任を感じていればいるほど、(成長でいえば高学年になればなるほど)簡単に上手くいくものではありません。表現に対して「分からない」や「どうやるの」などの質問は、実は作品と向き合い始めた証拠でもあるのです。しかし今回、ほとんどこのような質問はありませんでした。それは勢いのみに任せた制作だったからではなく、さらにその2歩先、春からの経験で培った「自信」による、主体的な制作が行えていたからこそでした。講師に頼らずに自らの表現に没頭し、高学年に至っては寧ろ手を貸そうとするとピシャリと断る、制作中の講師の作品を講評する(厳しめに)など、もうほとんど出番はありませんでした。経験を重ね、内にある「見えない美しさ」を表現する難しさや喜びを知っているからこそ、他者が紡ぎ出す同様のものに価値を見出すことができるものです。目に見えない何かを大切にできる、抽象表現を「ステキだ」と思える気持ちが形になった夏の工作。成長の一記録となれば幸いです。   
残暑お見舞い申し上げます。
[親子クラス] 2016.08.09
残暑お見舞い申し上げます。
講師:渋谷葉子猛暑が続いておりますが、皆様どのようにお過ごしでしょうか?先週、江戸東京博物館で開催されている「大妖怪展」に行ってきました。最近では金、土曜日と夜遅くまで延長しているところもあり、前回「国芳・国貞展」も夜の時間帯で見に行きましたが、お客さんが少ないと思いきや、会社帰りの若い人でごった返していて、美術に対する関心の高さを伺うことができました。 TVで子ども達の妖怪ランキングが紹介されていましたが、3位は歌川国芳の巨大なガイコツがぬっと出た「相馬の古内裏」2位は今年話題となった伊藤若冲の道具が擬人化された愛らしいキャラクター「付喪神図」そして、1位は日本のお化けと言ったらやはり、王道は足のない「うらめしや〜」ですよね。これを最初に描いたのが円山応挙の「幽霊図」だそうです。 日本のアニメやキャラクターは今、世界中で大ブームとなっていますが、意外にもルーツはこんな昔の作品から知ることができるんですね。暑い夏、お化けを見に行って涼んでみませんか?<江戸東京博物館 edo-tokyo-museum.or.jp> さて、親子クラスは今月は「思い切り弾けてみよう」をテーマに活動しています。今回は大きな段ボールで「わたしのおうち」を制作しました。いつもと違う大きな段ボールを前に筆を持つ子ども達の顔はいつになく真剣! 親子で絵の具まみれになって完成した時の満足気な笑顔。おしまいは盥のお水に足をジャブジャブ。暑さも吹き飛んでしまいましたね。次回はたっぷりのテラコッタ粘土で楽しみます!
向かい続ける力
[中高生クラス] 2016.08.08
向かい続ける力
4月から約4ヶ月間取り組んできた中高生クラスの油絵「春の静物画」が、ついに完成を迎えました。曜日毎に講師が定めたねらいを深め、決して長くはない時間の中それぞれ何が出来るかを工夫し、真剣にキャンバスと向き合いました。新たな技法や表現、制作中の見方や考え方など、今まで描いてきた油絵から一歩進んだ「描くこと」への取り組み。特に新高校生は、キャンバスを今までのF6からF10にサイズアップしたことによって表現の幅が広がり、そこから新たに生まれる面白さや難しさと毎回格闘していました。おそらく「うまくいかない」ことの方が多かった今回の制作。やりきれた要因は、長年の「作品と向き合う」キャリアでした。制作は誰に強制されるわけでもないので、続けることも諦めることも自分の気持ちひとつ。「楽しい」が原動力だった小学生が、鉛筆デッサンや子供油絵クラスで表現の「面白さ」を知り、中高生となって自分だけの「興味深い」を模索する。成長と共に制作に対する気持ちや姿勢が変化していく中で、全員に共通して言えることは、時を重ねれば重ねるほど制作することが自分にとってかけがえのない、大切なものになっていくこと。困難な課題に、自ら培った経験や感性で挑み、新たな何かを獲得する。その先にある喜びは人生の宝。知ってしまえば諦める選択肢は自ずと姿を消していきます。「作品と向き合い続ける」ことでしか得られないものが確かにある。真剣な眼差しでキャンバスを見つめる中高生が、無言で教えてくれたことです。デッサンを始めた小学生の皆さんも、これからこの場所でより多くの、自分だけの宝を増やしていって欲しいです。 一方、先日行われた夏の美術鑑賞会。アトリエでは見せない、実に中高生らしい笑顔でとても楽しく過ごしていました。ただ、作品を前にしたらやはり真剣。明らかに他の観覧者と目の色が違いました。これも、作品に向かい続けることで培われた「受け取る力」なのでしょう。新鮮で豊かな感性。秋の制作でどのように形を変えていくのか、とても楽しみです。  
ぼかしで表現する遠近感
[色鉛筆画] 2016.08.05
ぼかしで表現する遠近感
 第3回~5回の色鉛筆講座では、3回に渡り「ぼかしによる遠近感の表現」を学びました。色鉛筆はグラデーションを細かく調整しながら描く事ができるので、この技法が使えるとぐっと表現の幅が広がります。 今回の課題では、木片を3つ配置し、どれにピントを合わせるかの設定から始めました。ピントを合わせた木片からの距離に応じ、その他の木片をぼかして描く事で、遠近感を強調したり、主役となる木片を目立たせる事が出来ます。設定したピントに応じてぼかして描く部分については、見えているそのままに描くわけではないため、今までの課題より難易度は高めでした。しかし、その分画面の隅々にまで意識が及ぶため、完成作品も習作という事を超えて、1つの絵としてより表現力の強いものになったと思います。 今回は静物画でしたが、風景画や人物画にぼかしの表現を取り入れてみても面白いかも知れません。まずは、対象をしっかり立体的に描けるという基本が大切ですが、基本が身に付いてきたら、ステップアップとして色々な描き方を試してみると、新たな発見があり良いと思います。 また、絵ではなく写真なのですが、実際にぼかしの効果を利用している作家さんがいるのでご紹介します。●本城直季さん実際の風景なのですが、画面の周りをぼやかす事で、ミニチュアのジオラマのような不思議な光景となっています。
鉛筆の”線の集合体”
[中高生クラス] 2016.07.22
鉛筆の”線の集合体”
作者の感想/中高生クラス アシスタント:中村朝咲(武蔵野美術大学) 私は小学1年生のとき、母の紹介でアトリエ5に通いはじめました。 アトリエ5は、子供の頃の私にとって唯一自分の世界を存分に広げることのできる場所でした。ただ絵を描くことを教える、教えられるの関係ではなく、一緒になってその時その時の作品について考え、感じていく。自分の好きなこと、自分だけのこだわり、そういうことにとことん付き合ってくれるのがアトリエ5というところです。  今回のたまねぎの鉛筆デッサンは、鉛筆の"線の集合体"によってモチーフを描くということを意識して描きました。これは色鉛筆の技法から影響をうけて思いつきました。鉛筆デッサンなのだから線で描くのは当たり前だと思われるかもしれませんが、たまねぎを描くことだけに夢中だった私にとってこれは大きな発見でした。 当時の私はこれに気づくまで、モチーフの魅力を描こうと思いつつも、どこかただ何となくそれを描いてしまっていて思うように描けていなかったのです。そんなとき、横山先生の色鉛筆の特別講座と出会い、今まで知らなかった色鉛筆の使い方を学んだことによってそれを発見し、鉛筆デッサンに活かしました。 デッサンを学んでいくにあたって鉛筆でのデッサン力を高めていくことはもちろん大切です。しかしそれだけでなく物の捉え方、考え方は固定せず柔軟でいることも大切です。今回の私の場合は色鉛筆でした。しかしどこにヒントがひそんでいるか分かりません。皆さん、美術に限らず色々なことをたくさん経験して下さい。そうして得たものはただの線一本であっても全く違うものに変えていってくれるはずだと私は思います。
ざらざら、とろとろ、ひんやり
[小学生クラス] 2016.07.18
ざらざら、とろとろ、ひんやり
  今年も蝉の鳴く季節がやってきました!小学生クラスただ今工作まっただ中。月、火(後半)、水クラスは『風の塔』、火曜日前半クラスは『海のなかのせかい』をテーマに制作しています。 月、火(後半)、水クラスは、瓶の透明感と白の美しさをポイントに、瓶、布、石の3つの異なる質感の素材を組み合わせて「風」のイメージを作っています。保護者の皆様、瓶探しのご協力ありがとうございました。持って来れなかった子も 酒屋さんから頂いた瓶から自分の瓶を選び、制作スタート!まずは、自分の風の塔のイメージをノートに言葉で書き、それが決まったら、手で「風」の形を探っていきます。今回、風を表現するのに一枚の布と液体粘土「クロスクレイ」を使いました。石をつぶしたような自然な白が良い感じのこの粘土は、石粉粘土「ラドール」の液体のものです。布の表情を残したまま固まるこの粘土でふわっと風が吹いたような布の形を、工夫しました。子ども達ドロドロの粘土を前に、「うわー!やだやだ!キモチワルイ!」と拒否反応を起こす子も。 しかし一度布を浸すと「あ〜気持ちいい〜」とひんやりザラザラとした感触にすっかりハマっていました。次回は、風の流れをイメージして瓶に装飾していきます。 火曜日(前半)クラスは、『海のなかのせかい』をテーマに石膏で珊瑚作りに挑戦です。まずは、生け花で使用するオアシスに指で穴をあけて石膏を流し込む型作りをしました。子ども達の細い指跡が珊瑚の突起になります。皆、オアシスにブスブスと穴をあける感触が楽しくてありの巣のように広がっていきました。そこに、とろとろの石膏を流し込みます。一瞬で固まることが不思議なようで、どうしても触りたくなってうずうず。ただ今乾燥中です。オアシスに開けた穴の形が反転するなんて不思議。どんな珊瑚が出来上がるのかまだ誰も分かりません。乾燥中には、自分で新しい貝の種類を想像して粘土で作りました。カラス貝やとげとげの貝、イメージがどんどん膨らみどれか一つなんて選べない!今回の工作は、珊瑚作りでは、自分の意図出来ないものが出来上がるドキドキ。そして貝作りでは自分のイメージをカタチにする喜びその二つの面白さを感じながら制作しています。   最後に私事ではございますが、広島にあるオーガニックコットンの肌着屋さんmarruの肌着「新月ショーツ」の布パッケージに季節ごとにイラストを描いています。ただいま夏空です。中川政治七商店などで取り扱いしているようです。どうぞよろしくお願い致します。
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